魔法使い「出た……黒い雷!」
師匠「よくやった」
魔法使い「はい! ついに究極の雷魔法“ブラックサンダー”を会得したぞ!」
師匠「これでもはやお前に敵はいない」
魔法使い「それだけ凄い威力ということですね!?」
師匠「いや……“ブラックサンダー”に威力はない。というよりゼロだ」
魔法使い「へ?」
師匠「“ブラックサンダー”の真価は、雷によって生み出される物にある! あれを見よ!」
魔法使い「これは……チョコレート!?」
イチオシ記事
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魔法使い「はい、半分こしましょう」
師匠「ふむ……さすが我が弟子。ワシ以上の美味さだ」サクサク
魔法使い「たしかにこれはおいしい」サクサク
魔法使い(だけど――)
師匠「ゆけ! この“ブラックサンダー”で魔王を倒すのだ!」
魔法使い「出来るわけないでしょう! たかがチョコレート菓子で!」
師匠「は? お前“ブラックサンダー”舐めてんの?」
魔法使い「はぁ」
師匠「準チョコレートを始めとして、ココアクッキー、油脂加工食品、小麦粉、砂糖、植物油脂、
ショートニング、カカオマス、食塩、ホエイパウダー、脱脂粉乳、全粉乳。
さらにソルビトール、膨張剤、大豆由来の乳化剤、香料が含まれている」
魔法使い「すみません、ソルビトールってなんですか?」
師匠「甘味料の一種だ。食品業界では常識であろうが!」
魔法使い「僕がいるの魔法業界のつもりだったんですけど……」
師匠「栄養成分としては一本21gあたり、熱量112kcal、タンパク質1.3g、脂質6g、炭水化物13.1g、
食塩相当量0.2gといったところだ」
魔法使い「やたら正確に把握してますね」
師匠「これ程の味と栄養を備えた菓子は、そうあるまいて!」
魔法使い「そうなんですか」
師匠「値段をつけるなら30Gといったところだろう」
魔法使い「安いですね! 子供でも買えちゃいますよ!」
師匠「やはりお菓子というものは、子供のためのものだからな」
これすき
師匠「使いこなせるのは、若く才能に溢れるお前しかおらぬ」
師匠「頼む、どうかこれで魔王を倒し、ワシの人生は間違ってなかったことを証明してくれ!」
魔法使い「……!」
魔法使い(師匠にこうまで頼まれたら、やるしかないよな)
魔法使い「分かりました! この僕が師匠の“ブラックサンダー”を受け継ぎ、魔王を倒します!」
師匠「頼んだぞ……」
魔法使いの旅が始まった。
魔法使い「……ん」
スライム「ピギュ!」
魔法使い「ス、スライム!」
スライム「ピギュゥ……」ギロッ
魔法使い(今にも襲ってきそうだ……体当たりでもされたら大ケガしちゃう……)
魔法使い(となれば、やることは一つ!)
ピシャァンッ!
スライム「ピギュ!?」
魔法使い「これ、どうぞ」
スライム「ピギュ……ピギ……」モグモグ
魔法使い「どう?」
スライム「ピギーッ!」
魔法使い「!?」
魔法使い「アハハ、気に入ってくれたかい」
スライム「ピギュピギュ」
魔法使い「え? 仲間になってくれるの?」
スライム「ピギュゥ」コクッ
魔法使い「あ……ありがとう!」
スライムが仲間になった!
魔法使い(そうか、“敵はいない”ってのはこういうことだったのか!)
魔法使い「村にたどり着いたね。一休みしようか」
スライム「ピギュ」
……
魔法使い「なんですって!? 魔物に生贄を要求されてる!?」
村長「そうなんです……」
魔法使い「分かりました、僕が魔物に生贄などやめるよう、説得してきます!」
村長「説得など通じる相手では……」
魔法使い「任せて下さい! 行こうスライム!」
スライム「ピギュ!」
魔物「グハハハ……生贄は持ってきたか?」
魔法使い「いや、生贄に応じるつもりはない!」
スライム「ピギュ!」
魔物「な、なんだと!?」
魔法使い「お前に食わせる人間などいないといったんだ!」
魔物「面白い。だったらお前と、ついでに隣のスライムを食うまでだ!」
魔法使い「その前にこれを食べてみてくれ」
ピシャァンッ!
魔物「む……! おのれ、魔法を使うのか!」
魔法使い「さあ、これを食べてくれ」
魔物「なんだこれ……」
魔法使い「黒雷より出でしお菓子“ブラックサンダー”だ」
魔物「いいだろう。ちょうど腹減ってたしな」サクッ
魔物「う、うまい! チョコの甘さとクッキーのサクサク感が絶妙なハーモニーを奏で――」
魔物「雷に打たれたが如く刺激を与えてくれる! 一口食うごとに満足感の津波が襲ってくる!」
魔法使い「じゃ、もっと出すよ」バリバリッ
魔物「俺は……こんなうまいものがあるのに、人間なんかを食べようと……」
魔法使い「これからは大人しくしてくれるか?」
魔物「ああ、するよ。こんなうまいもん食わせてくれた奴には逆らえねえ」
魔法使い「やったね!」
スライム「ピギュ!」
魔法使い「結構大きな町に着いたね」
スライム「ピギュ」プルンッ
魔法使い「せっかくだし、たまには“ブラックサンダー”以外のもの食べるかい?」
スライム「ピギュギュ」
魔法使い「え、バターが食べたい?」
スライム「ピギュ」
魔法使い「じゃあ、あそこで買ってきてあげるよ」
スライム「ピギュ!」モグモグ
魔法使い「バターが好きなんて変わったスライムだな」
魔法使い「ん?」
ワイワイ…
魔法使い「人が集まってる。行ってみようか」
スライム「ピギュ」
町民「これをどうぞ」
領主「これは?」
町民「妻が作ったケーキです。ほどよい甘さでコーヒーに合うかと……」
領主「全然合わん! 貴様は鉱山で強制労働だ!」
町民「ひええ、そんな……」
ザワザワ…
「さっきからみんな鉱山行きだぜ」 「ひでえよな……」 「褒美くれる気なんてないだろ」
魔法使い「ずいぶん横暴な領主みたいだ……」
Source: V速ニュップ
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