アニメ『鬼滅の刃』もいよいよ遊郭編が開始となり、炭治郎たちの活躍がますますヒ-トアップして来ました! 筆者が気になる人物は、元忍者である柱の宇髄天元(うずいてんげん)さん。“元忍者にしてはド派手過ぎない?”という突っ込みがありそうですが……。
実際の忍者は隠密での情報収集がメインなので、様々な職種で一般人のように溶け込んでいたとか。その中には大道芸人もおり、ド派手な忍者も存在したようです。鬼殺隊は政府から公の機関としては認められていません。隠密に鬼を討伐する必要があることから、鬼殺隊に元忍者や忍者の家系を継ぐ隊員がいても、不思議ではありませんね……。
そう思いながら、アニメ『鬼滅の刃』竈門炭治郎 立志編を見直していたところ、なんと存在したのです! 天元さん以外の人物が、忍術を使うシーンが……。それも実際の忍者が使用していた忍術です。
その忍術を使っていたのは、なんと胡蝶しのぶさんです!
確かに、しのぶさんの反射神経や身体能力の高さには、目を見張るものがあります。劇中では炭治郎に気づかれずに隣に立っていました。蟲柱であり蝶屋敷の当主でもある彼女は、一体どのような忍術を用いたのでしょうか?
それが描かれたのは第25話。しのぶさんは、孤児であった栗花落(つゆり)カナヲを人買いから奪う時にお金を人買いに投げつけます!
呆然とする人買いですが、これは遁術(とんじゅつ)や隠形術(おんぎょうじゅつ)と呼ばれる立派な忍術です。敵から隠れたり逃げたりするための術で、劇中のようにお金を撒いて、敵が拾っている間に逃亡するのは、金遁(きんとん)と呼ばれます。
画面を確認すると、お札23枚、硬貨約170枚が宙に舞います。これだけの量の貨幣や紙幣を財布ではなく懐にしのばせておくというのは、偶然ではなく意図的に準備されていたものであると考えるほうが自然です。
しかも、姉のカナエも、とっさの出来事であるにも関わらずしのぶに遅れを取らず同様のタイミングで逃亡できたことを見ると、おそらく初めての行為ではないのでしょう。鬼殺隊は様々な場面で、一般人とのトラブルに直面することが想定されると思われ、このような遁術を利用することもあったのではないかと推測されます。
また、那田蜘蛛山編でも富岡と炭治郎達の加勢に向かう際、しのぶの走り方も羽織が大きく確認しづらいですが、忍者走りのような態勢で走っていました。
さらに、カナヲは炭治郎との機能回復訓練の際、忍者走りで炭治郎から逃げています、カナヲは胡蝶しのぶの継子であり、手ほどきを受けた際に教えられたのでしょう。劇中の時点では、彼女は指示されない行動をコイントスによって決めているので自身で体得したとは考えにくいです。
そして、何よりも彼女の名前が“しのぶ”なことからも忍者に遠くない出自であることがしのばれます。
では、しのぶさんはどこの流派なのでしょうか? 忍者と言えば伊賀流と甲賀(こうか)流が有名です。甲賀流といえば薬学に精通しており、現代でもその地元・甲賀市では製薬業が盛んです。
しのぶさんの両親は薬の調合の仕事をしていたそうです。その影響を受けて、幼少の頃から薬学に興味があったとのこと。甲賀流の武士は江戸時代に江戸幕府に重用され、大政奉還後にはほとんどが平民になったそうです。しのぶさんの住まいが東京であることからも、甲賀流だったとの見方のほうが有力です。
如何でしょうか? もちろん、作中に胡蝶家が忍者の家系であると証明するような記述は存在しませんし、推測の域を出ませんが、史実に照らし合わせて検証してみました。
しかし、しのぶさんの忍者装束を見てみたいのは筆者だけではないと思います(笑)。
■参考文献及び資料
テレビ【鬼滅の刃・立志編】
ジャンプコミックス【鬼滅の刃公式ファンブック・鬼殺隊見聞録P86】
ウィキペディア【甲賀流】【遁術】
ピクシヴ百科事典【胡蝶しのぶ】
※画像は公式サイトをキャプチャーしたもの。
(C)吾峠呼世晴/集英社 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
文・内海 健(よしもとライターズアカデミーウエスト)
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Source: PASH! PLUS