アニメ『鬼滅の刃』はクリスマスぼっち勢にも日本一優しい!? 炭治郎のクリスマスの動向を考察してみた

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 原作:吾峠呼世晴、アニメーション制作:ufotableの大人気TVアニメ『鬼滅の刃』は遊郭編がスタート。新たな物語が描かれるほか、追加キャストも発表されておりファンの熱気も高まる一方です。

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 さて、そんな中2021年も12月に入り、世間では“クリスマス”や“お正月”といった単語がいきかう季節になってまいりました。『鬼滅の刃』は作中の年代をある程度特定できる漫画やアニメとしては珍しい作品ですが、この季節らしいある疑問がひとつ。

炭治郎はクリスマスを祝ったりするのか?

 緑と黒の市松模様の羽織を身にまといヒノカミ神楽で日輪刀に真っ赤な火を灯す様は、クリスマスにふさわしい……とこじつけられなくもない姿です。なにより、炭治郎は責任感があり心優しい“よく出来た人”とはいえまだ15歳。普通ならイベントごとを楽しみたい遊びたい盛りの中学3年生です。

 そんなわけで、劇中の描写などからアニメ遊郭編までの炭治郎のクリスマスにおける動向を考察していきます。

 なお、PASH+ではアニメ『鬼滅の刃』の難読人名・用語解説記事やストーリー紹介記事なども掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。

前提条件いろいろ

『鬼滅の刃』の時代にクリスマスはあったのか?

 まず最初に気になるのは、“そもそも『鬼滅の刃』の時代(大正)にクリスマスなんてあったの?”という疑問です。クリスマスに対して“最近根付いた欧米の文化”というイメージが先行する人も少なくないと思われますが、実際のところかなり昔から日本に伝来しています。

 記録によると、日本初のクリスマスは室町時代。守護として山口を中心に治めていた第31代当主・大内義隆がフランシスコ=サビエルによる布教の願いを受けいれ、その翌年となる1552年旧暦12月9日(西暦12月24日)に初めてクリスマスが祝われたとのこと。

 1612年に行われた江戸幕府の禁教令から一部のみで行われる状況が続きますが、明治33年(1900年)には明治屋銀座店が日本でいち早くクリスマス飾りを始めます。

 その後、明治43年(1910年)には不二家が日本初のクリスマスケーキを発売。大正元年(1912年)に発表された歌人・木下利玄の歌には“明治屋のクリスマス飾り灯ともりてきらびやかなり粉雪降り出づ”というものがあるなど、クリスマスという存在は、大正時代にはすでに少なからず普及していたようです。

物語の開始時点はいつ?

 『鬼滅の刃』の物語開始時点の日付は、ある程度ではありますが“竈門炭治郎 立志編”1話の状況や炭治郎が最終選別で戦った“手鬼(ておに)”の言動から大まかに割り出せます。

 まず、物語開始時点の時期は炭治郎が正月に関する言及をしていることから年末あたり、少なくとも正月より前であると判断できます。また、年代に関しては、手鬼の発言から1912年か1913年だとわかります。

第1話はクリスマスの前か後か?

 『鬼滅の刃』の時間の流れにおいて数少ない確定事項は“第1話は少なくとも正月前”ということ。これは劇中でも炭治郎が言及しています。しかし、“クリスマスの前と後のどちらだったのか?”という点は劇中で明言されておらず判断が難しいところ。

 前述の通りクリスマスは1902年ごろには年中行事として定着していることを考えると、山で炭焼きを生業としていたことを考慮しても第1話はクリスマスの後と考えるのが自然なため、本記事では“第1話はクリスマスの後”と考えます。

 もし第1話の日付が12月25日になろうものなら、“炭治郎へのクリスマスプレゼントは鬼になった禰豆子!”という地獄のクリスマスになってしまうのでむしろそうであってほしい……!

作中時間にて初のクリスマスは“愛情たっぷりのプレゼント”が炭治郎を襲う!?

 鬼になった禰豆子を見つけた炭治郎は水柱・冨岡義勇さんとの出会いを経て、鱗滝左近次さんの下で修業を行うこととなるのですが、その期間は約2年。つまり、炭治郎は作中時間における1、2回目のクリスマスを“山中で修業”という形で過ごしたことになります。

 劇中における炭治郎の初めてのクリスマスは、鱗滝さんにしごかれていたか山中のトラップに殺されかけていたと考えると、鱗滝さんは炭治郎を死なせたくないがために過酷な修業を行っていたことを考慮してもなかなかハードです。

 また、2年目は鱗滝さんが何も教えなくなってしまいます。一応、錆兎と真菰がいるものの、ふたりは霊体なのではたから見れば炭治郎は完全にクリぼっち(クリスマスにひとりぼっち)です。

 第1話のインパクトであまり気になりませんが、14ないし15歳の少年がほぼ孤独でクリスマスを過ごす様はなかなかにツライ絵面です。

炭治郎、クリスマスに予定あるってよ(任務)

 炭治郎にとって作中3回目となるクリスマスは鬼殺隊入隊後。その動向は『鬼滅の刃 無限列車編』で確認できる“乗客の服装”、“月の満ち欠けと位置”がカギとなります。

 まず、劇中で乗客が外套(薄いコートのようなもの)を着ていることから少なくとも冬の時期であり、夜空には月が浮かんでいて形は欠けた半円(月齢23前後でしょうか)であることから、“夜の時間に月齢23前後の月が上がる日”と考えられます。

 さらに、炭治郎が最終選別で戦った“手鬼(ておに)”の言動から物語の開始が1912年か1913年の年末であるということを考慮すると、“1915or1916年で夜に月齢23前後の月が上がる冬の日”というところまで考察を進められます。そして、当てはまる日程は下記の通り。

【夜に月の形が“月齢23前後”となる日程】
1915年10月31日夜~11月1日昼
1915年12月1日深夜~昼
1915年12月29日夜~12月30日昼
1916年11月18日夜~11月19日朝
1916年12月19日深夜~昼

 無限列車編の前後は機能回復訓練を行っており、遊郭編冒頭には“無限列車の事件から4カ月は鍛錬の合間に任務をこなしていた”という独白があることから、炭治郎の作中3回目のクリスマスにおける動向は“鍛錬ないし任務を行っていた”という見方が濃厚です。

鬼殺隊はブラック企業?

 ここまででアニメ最新話時点までの炭治郎が過ごしたクリスマスを考察したわけですが、その内容は下記の通り。

1年目:山中にて修行
(鱗滝さんのしごきかクリぼっちでトラップと格闘)

2年目:山中にて修行
(錆兎と真菰は霊体であるため実質クリぼっち)

3年目:修業or任務
(任務の場合はクリぼっちの可能性アリ)

 振り返ってみるとクリスマスの動向が修業、修業、修業or任務と、華やかさのかけらもありませんね……! というより、考察に際してアニメを見直したところ、炭治郎のおかれた境遇にはクリスマスはもちろんのこと、そもそも季節の行事を楽しむ余裕がありません。

 鬼殺隊に入隊してからはそれが顕著になり、鍛錬を行うか任務にあたるか、たまの休暇は療養と、その様は現代におけるブラック企業(政府非公認ですし)!

 弱冠15歳にして現代のブラック企業もかくやという過酷な環境に身を置き、クリスマスを楽しむ同年代の子を尻目に鬼と死闘を繰り広げる炭治郎のことを思うと、涙が止まりません……! 戦いが終わった暁には、仲間たちと心からクリスマスを楽しんでほしいところです。

■参考文献
Weblio辞書:クリスマス
クリスマス市 山口
不二家の歴史(明治から終戦)
【日本のクリスマスの歴史】なぜ日本で広まって定着した?
月出没時刻・方位角計算のページ

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正式表記です。
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

Source: PASH! PLUS

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