アニメ『キン肉マン』“夢の超人タッグ編”のあのトロフィー。作るのにいくらかかるのか？というか持ち上げられるのか!? 1/1スケールの完全再現アイテムから計算してみた

　長編アニメの話をする時に一番多い話題と言えば、“どの章（編）が好きか”だと思います。そして、アニメ『キン肉マン』はその話題で大いに盛り上がる作品のひとつではないでしょうか。

　ゆでたまご先生による同名漫画を原作としたアニメ『キン肉マン』は、1983年に『キン肉マン』、1991年に『キン肉マンキン肉星王位争奪編』の2度にわたり、放映されました。超人同士のプロレスを描いたバトル漫画で、正義と友情がテーマとなっています。

　そんな『キン肉マン』の中でも筆者が好きなのは“夢の超人タッグ編”。富士山の隣にそびえ立つ、ニセ富士「トーナメント・マウンテン」の頂上に突き刺さっているトロフィーを巡り、超人達がタッグチームを組み熱いバトルを繰り広げます。

　トーナメントでは、決勝戦で復活したキン肉マンとテリーマンの「ザ・マシンガンズ」がネプチューンマンとネプチューン・キングの「ヘル・ミッショネルズ」に勝利。真の友情をもったタッグチームのみが手にすることの出来る黄金のタッグトロフィーを1億4000万年ぶりに抜き取りました。

　ちなみに、このタッグトロフィーですが、精密金属部品メーカーで漫画・アニメのグッズを完全再現することで話題の株式会社キャステムが商品化！　1/1スケールで完全再現したものが価格110万円（税込）、限定5個で限定販売されます。

　なお、超人でなくてもキン肉マンとテリーマンのようにトロフィーを高々と掲げることができるようFRP（繊維強化プラスチック）で製作されており、重量は20Kgに抑えられています。塗装は光学的に金属組織に近い塗料が採用されており、純金箔24金色に仕上げられています。

　……ところでこのタッグトロフィー材質に対して詳しい言及はないのですが、見た目の通りすべて純金だったらどれぐらいの重さと金額になるのでしょう？　ということで調べて見ました！

■『タッグトロフィー 1/1スケール』商品概要
型番：CI10037
メーカー：キャステム
製造年：2022年
外寸法：幅1100mm×奥行800mm×高さ1,300mm
製品重量：20kg

　『タッグトロフィー 1/1スケール』の素材であるFRP（Fiber-Reinforced Plastics）は、ガラス繊維などの繊維と組み合わせることで強度を高くした繊維強化プラスチックの総称です。代表的なFRPの密度は1.5～1.7g/cm3程度と相対的に小さな値とのこと。今回は、金の密度を19.3ｇ/cm3、FRPの密度を平均の1.6g/cm3として計算します。

■トロフィーの体積
質量（g）÷密度（cm3）＝体積（cm3）
20,000g÷1.6g/cm3＝12,500cm3
■純金製の場合におけるトロフィーの質量
体積（cm3）×密度（cm3）＝質量（g）
12,500cm3×19.3g/cm3＝241,250ｇ＝241.25kg
■純金製の場合におけるトロフィーの価格
241.25kg×7,570円/g＝18億2,626万2,500円
※令和4年5月14日現在：純金の相場価格（税込）7,570円/g
※塗料などの重量は考慮しない。
※材質はすべてFRPによるものと仮定する。

重さ約240kg　価格約18億2,600万円

　すさまじい価格と重量です……が、2021年に行われた東京五輪では、ジョージアのラシャ・タラハゼ選手が重量挙げの男子109キロ超級にて、スナッチ（両手による引き上げ競技）で223キロ、ジャーク（両手による差し上げ競技）265キロをマークし、いずれも自身の世界記録を更新して五輪連覇を達成しています。に、人間の力ってすげえ……！

　そんな人間の限界に挑む重量に対して、キン肉マンとテリーマンは引き抜く時こそ手こずるものの、最終的には軽々と持ち上げるわけですから、さすが超人というべきでしょうか。

　ともあれ、一般人である我々はFRP製でカッコ良く掲げ上げるのが1番ですね！　問題はFRP製でもかなりの価格であるということですが……。

参考文献及び資料

TVアニメ『キン肉マン』公式サイト
ウィキペディア：『キン肉マン』
『タッグトロフィー 1/1スケール』商品ページ
ネオライン：金属相場情報
みんなの試作広場minasaku：軽量で強度の高い繊維強化プラスチック（FRP）の基礎的な知識を解説～代表的なFRPの性質・用途、成形法
具体例で学ぶ数学：金、銀、銅の重さについてのまめ知識
産経ニュース：タラハゼが世界新で連覇重量挙げ

文・内海健（よしもとライターズアカデミーウエスト）