覇気のないジャイアン、21世紀からやってきた…途中で変更になった「ドラえもんの初期設定3選」

　国民的アニメとして幅広い世代から親しまれている『ドラえもん』。もはや常識レベルに「ドラえもんは22世紀からやってきた」「ジャイアンはガキ大将」といった各キャラの設定を知っている人は多いはず。

　しかし漫画連載の初期の段階では、私たちが知っているドラえもんと違う設定が数多くありました。そこで今回は、「途中で変更になったドラえもんのキャラ設定」をご紹介しましょう。

どこか覇気がないジャイアン…初期のリーダー格はスネ夫だった!?

　のび太の同級生といえばジャイアンやスネ夫、しずか、出木杉が有名なメンバーです。なかでもジャイアンは大きな体と腕力に物をいわしたガキ大将で、たびたびのび太にきつく当たるのは、もはやお決まりの流れ。またスネ夫はジャイアンをサポートするような位置にいてふたりで悪さをするのも見慣れた光景ですよね。

　しかし『ドラえもん』の連載初期になると、今とは状況が異なります。『幼稚園』1970年1月号に掲載された『ドラえもん』第1話にはスネ夫とジャイアンが登場しますが、スネ夫はどことなく攻撃的で口数が多く、ジャイアンは無口で、今のイメージとかけ離れるほどの優しい目つき…。4ページしかない短い漫画ではあるものの、ジャイアンはひと言も喋っていなくて、終始スネ夫がのび太に問い詰めています。

　また全6種類の「幻の第1話」を収録した『ドラえもん』0巻には、「でてくる人」という連載初期当時の登場キャラを紹介しているページが。「のび太の友だち」というカテゴリの下にはすね夫（当時はひらがな）、しずか、ジャイアンの順で並んでおり、やはりジャイアンには覇気がなくてぼーっとした様子が見て取れます。単行本には未収録なので、意外すぎるジャイアンの姿に驚く人も少なくないでしょう。

ドラえもんのしっぽを引っ張ると姿が消える…

　ドラえもんにはひみつ道具をしまう「四次元ポケット」や何でも手に吸いつく「ペタリハンド」といった機能がありますが、しっぽにも「スイッチ」という役割があります。

　現にコミックス14巻の「ぐうたらの日」では、空腹に耐えかねたドラえもんが「スイッチきっておこう」と言いながら自身でしっぽを引っ張って機能停止の状態に。有名な設定なので、何となく「しっぽを引っ張れば機能停止する」という事実を知っている人は多いかもしれません。

　しかし、この設定も連載初期になると違っており、当時は「姿が消える」という機能でした。単行本には載っていない『小学三年生』1970年1月号の『ドラえもん』第1話では、ドラえもんのしっぽを引っ張って姿を透明にする場面が登場します。またコミックス3巻の「ああ、好き、好き、好き！」でも同様のシーンが描かれており、このままドラえもんの正式な設定になるかと思いきや、前述したとおり、「スイッチ」の機能に切り替わりました。

　作者の藤子・F・不二雄先生は、設定変更について「これは便利だと一話書いてみたのですが、便利すぎてもまずかった。主人公がピンチになるたびにしっぽを引っぱって消えるんじゃ面白くも何ともない。この設定はなかったことにしました」と過去のインタビューで応えていたそう。確かにチート級の機能なので、都合よく使われていたら、読者も納得できなかったかもしれませんね。
　

22世紀ではなくて21世紀からやってきた!?

　みなさんはドラえもんの誕生日を知っていますか？公式では2112年9月3日と発表されており、多くの人が「22世紀からやってきた猫型ロボット」と認識していると思います。

　実はドラえもん誕生の設定も連載初期では曖昧だったようで、『小学二年生』1970年4月号の『ドラえもん』第1話では“111年後からやってきた”という説明があるのみでした。1970年から111年後の2081年にドラえもんが誕生したとなれば、22世紀より前からやってきたことになります。

　しばらく21世紀からきたという設定は曖昧なままでしたが、1976年に発売された『ドラえもん』11巻で、ドラえもんの誕生日が「2112年9月3日」と正式に公開されて今に続いています。

　ここで気になってくるのは「ドラえもんの年齢」。公式サイト『ドラえもんチャンネル』の企画である「ドラチャンてんコミ探偵団ドラえもんの秘密を探れ！その1」では、ドラえもんの年齢についての考察を公開中です。

　のび太の孫の孫であるセワシが小学四年生（10歳）の頃の西暦が2124年で、ドラえもんはセワシが赤ちゃんの頃にやってきていること、誕生日が2112年と考えれば、10～12歳の可能性が。2年の揺れがあるのはセワシの家にくるまでは起動されてなかった場合もあるため、ロボット戸籍上は12歳と考えるのが妥当かもしれません。