アニメ『薬屋のひとりごと』「一晩で一年分の給金が吹っ飛ぶ」の評判は伊達じゃない! 緑青館の料金を現在の価値で計算してみた

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※本記事はアニメのちょっとした疑問について、ざっくりとした考察で検証する記事です。
※計算や前提条件にアラがある場合があることをご了承くださいませ。

サムネサンプル

 1月より第2クールが始まるTVアニメ『薬屋のひとりごと』は、2023年秋アニメの中でも話題となった作品のひとつ。アニメ化発表時にも待ちわびたファンから歓喜の声が上がりました。

 本作は、後宮を舞台に毒見役の少女・猫猫が様々な難事件を解決する大人気の後宮謎解きエンタテインメント。待望のTVアニメの監督を務めるのは長沼範裕さん、TOHO animation STUDIOとOLMがタッグを組みアニメーション制作を担当します。

 猫猫は、人攫いによって後宮に下女として売られてしまい、後宮では皇子の衰弱事件の謎を解いたことから美形の宦官である壬氏の目に留まり、様々な事件の解決を手伝わされることに……と、波乱万丈な人生を現在進行形で送っています。

 そんな彼女は、李白という人物に対して、里帰りの保証人になってもらう代わりに「一晩で一年分の給金が吹っ飛ぶ」といわれる最高級妓楼『緑青館』の「高級官僚でも中々手が出せない」と言われるトップ3を務める三姫の紹介状を取り付けることに。

 李白にしてみれば厚かましい要求ですが、緑青館のネームバリューに負けてその条件を承諾。猫猫のやり手な一面を感じるエピソードです。

 しかし、ここまで高級であることをうたわれると、実際にどのくらいのお金がいるのか気になるというもの。ということで「緑青館の夜伽料金って現在の貨幣価値でおいくら?」調べてみました。

アニメ『薬屋のひとりごと』緑青館の利用料金は現在の貨幣価値でどれくらい?

 日向先生曰く、時代背景は「モデルは唐代、楊貴妃の時代を中心に衣服や花街、後宮はイメージ。文化レベルは、十六世紀ごろにしておりますが」とのこと。本作はフィクションではありますが、調べてみると下記の描写を確認できます。

 小説(WEB版)宮廷編2の原作では「夜伽料金は銀300茶飲み代は銀100」とあります、ともに単位は1両と仮定して、古代の中国の銀貨の歴史を調べてみると以下のような資料がありました。

 通貨代わりの銀塊や銀の地金は馬蹄銀(ばていぎん)などが秤量銀貨(しょうりょうぎんか)として使われ、中国の秤量銀貨は銀錠(ぎんじょう)と呼ばれ、秤量銀貨は重さに価値があるため、価格の表示は刻まれず、重さの単位として両(りょう)が使われ約40グラムにあたる1両の銀貨から2キロ近い50両の銀貨まで存在したそうです。

 これを銀の価格(135.96円/2023年12月1日時点)で計算すると下記の通り。

1両の貨幣価値:135.96円/g×40g=5,438.4円両
茶飲み代:100両×5,438.4円=54万3,840円
夜伽料金:300両×5,438.4円=163万1,520円

 いかがでしょうか? 恐るべし緑青館! 噂に違わぬ、高級っぷりです。茶飲みだけでも50万オーバ-、そして夜伽となれば一夜で150万円が飛んでいく……。「一晩で一年分の給金が吹っ飛ぶ」という評判は伊達ではありませんでした。

 とはいえ、緑青館の三姫は民からも憧憬を受けるアイドルで、雲の上ような存在。一目見るだけでも自慢できるとなれば、これ程の金額でも致し方ないのではないでしょうか?

 しかし、今回の李白の夜伽料金は猫猫の借金としてズシリとのしかかります。現代の貨幣価値で見ると、その辛さもひとしおリアルに感じるというもの。がんばれ猫猫……!

【参考文献および資料】

TVアニメ『薬屋のひとりごと』公式サイト
主婦の友社・Ray Books『薬屋のひとりごと』公式ページ
『薬屋のひとりごと』特設サイト
小説家になろう:日向夏さん作家ページ
Wikipedia:『薬屋のひとりごと』
世界史の目:中国王朝の貨幣
田中貴金属工業:銀価格の推移

文・内海健(よしもとライターズアカデミーウエスト)

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