『映画 ギヴン 柊mix』今井文也さん、坂 泰斗さんインタビュー!「制作陣も特別な思い入れを 持っている作品なので、 きっと面白いものが 出来上がっているはずです」

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 2019年にTVシリーズが始まり、2020年に映画化、2021年にOAD化され、このたび続編が2部作で映画化されるアニメ『ギヴン』。1月27日(土)に公開される『映画 ギヴン 柊mix』で描かれるのは、佐藤真冬の幼馴染みである柊&玄純の物語。作品と連動し、ふたりのバンド「syh」のアーティストデビューも決まるなか、大きく関係性が動く役どころを演じた鹿島 柊役・今井文也さん、八木玄純役・坂泰斗さん、お話を伺いました。(本記事はPASH!2月号に掲載されたものです)

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鹿島 柊役・今井文也さん、八木玄純役・坂 泰斗さんインタビュー

玄純と同じスタンスで今井さんの柊に沿う芝居を

――柊と玄純にスポットが当たる物語の映画化に加え、syhがアーティストデビューすると聞いた際の、率直な心境はいかがでしたか?

今井 「何を言われているのか、分かりません!!」という気持ちでした。そもそも映画版をやれたら嬉しいけど、難しいだろうなと思っていたんです。それにもしやるとしても、柊が歌うことはないだろうなと。でも今回全部やるということで、「ようやるな!?」と驚きました(笑)。確かTVシリーズの頃は、原作でもまだ柊が歌う描写はなかったと思いますし、最初にオーディションを受けたときも、歌の審査はなかったんです。ですが原作が進むにつれて、柊は歌がすごくてバンドでも華があることが描かれていき、実際僕が演じたらどうなるんだろう?と思っていたし、今回いよいよやりますと言われて、大丈夫かな…と不安もありました。
 そっか、オーディションで歌はなかったのか!
今井 なかったんですよ。だからレコーディングでも、柊がどういうふうに歌うのか僕もスタッフさんたちも想像がつかなくて、最初は時間がかかりました。それで1曲目の収録のときに、4〜5回くらい同じパートを繰り返し歌い、自分の声を聴いてようやくこっちだな!とハマる瞬間があったんです。曲を作ってくださったセンチミリメンタルさんとも、ふたりで「これだね!」と同じ着地点を見つけられて、そこからは2曲も含めてスムーズに進めることができました。
坂 僕はまだ完成した歌を聴けていないので、一視聴者として楽しみにしているところです。TVシリーズから『ギヴン』はバンドシーンにすごく力が入っていて、細かな動きまで表現したアニメーションによって、バンドの生っぽさや臨場感が増していたので、映像を観るのも楽しみですね。

――今井さんが演じる鹿島 柊は、どんな魅力を持つ人物でしょう?
今井 年相応の可愛げというか、やんちゃで向こう見ずなところがありながら、大人としての視点も持ち始めた、少年と大人の狭間にいるような印象があります。またバンドとしては、まさに顔!という光り方もしていますね。
 そうだね。柊はやっぱり華がある。そういう人は限られているから。
今井 今後ちょっとずつ角は取れていくんでしょうけど、そのなかでもあの鋭さは持っていてほしいなと。そう思いながら、輝かしい10代ならではの尖り方を要所要所に入れて演じています。
 ボーカリストとしての華もそうだし、社交性があって友達も多い柊は、とにかく人を惹きつける引力を持っています。加えて自分の芯をしっかり持っているところが、すごく素敵です。今井さんはそこをしっかりと表現されていたので、僕はそれに従うだけだよねと、玄純と同じスタンスで乗っからせていただきました。だから今作の主軸を作ってくださったのは、今井さんの柊なんです。本当に頑張ってくださっていたと思います!
今井 あはははは!
 だって、大変だなー!?と思って。柊って、(上ノ山立夏)とワーワー言い合ったり、『ギヴン』のなかで一番コミカルな部分を担当しているし。
今井 それなのに急にシリアスになったり、情緒がスゴいですよね(笑)。
 そうそう。今作は単純にセリフも多いし、長時間声を張り続けるお芝居が求められていたので、同業だからこそ、そのスゴさが分かるんです。なので自分もそのお芝居に沿うものが出せればいいなと思っていました。

〝柊の優先度を下げる〞初めて自ら動いた一幕

――次に坂さん演じる八木玄純は、どんな人物だと捉えていますか?

坂 映画をご覧いただいたあとに、僕が言っていたのはそういうことか!と思っていただけたら嬉しいのですが、玄純は実は一番子供っぽいんじゃないかなと。悪く言うとズルいところがあって、自分でもそれを自覚しているし、嫌悪感も持っています。二律背反というか、自分のなかでもいろんなものがぶつかり合っていて、でもそれを押し殺したり誰かにぶつけたりするわけでもなく、わりとそのまま停滞している人かなという印象です。そういうことからも、演じるのがすごく難しいキャラクターではありました。一つひとつのセリフにしても、字面の意味と本当の意味がけっこう違うし、でもそこを悟られてはいけないし。内面にかなりドロドロとしたものを抱えた人間臭い人で、だからこそ華やかで尖っていて、自分とは違う存在の柊と対比ができています。
今井 玄純は〝徹する〞人ですよね。土台としての立ち位置をしっかり理解していて、これ以上は出ないぞという絶妙な〝弁え方〞がスゴいなと感じていました。今回の映画では、そこからはみ出す玄純が描かれているので、それも魅力的なんですけど。とにかくTVシリーズから、ドラム担当の玄純や( 梶)秋彦は、ちゃんと〝重み〞があるというか。多分バンドってそうなんだと思うんですけど、リズム隊としてしっかり土台を作ってくれるお芝居が、本当にお上手です。柊もリズム隊とされるベースではありますが、ボーカルもやっていて、それなりにガッと前に出なければいけない部分があるので。
 リズムが崩れちゃうと、全部ダメになっちゃうから、たしかに我は出さないかもしれません。
今井 あと玄純って、常に近くにはいるんですけど、みんなといるときは、けっこう一緒にいるようで…。
 一歩引いて、その輪にはいないというかね。
今井 そうなんですよ! そういう場面で、ふいに玄純にスポットが当たって喋るシーンの切り替えや空気の出し方が、坂さんはすごくお上手なんです。収録現場では左隣に坂さんが、右隣に真冬役の矢野奨吾さんがいらっしゃったんですけど、真冬といるシーンでふと玄純が話し出す瞬間とか、「実際に玄純がいたら、こういう感じか!」と、ハマる感覚がありました。そういう当たり前なリアルさを出せるところや土台作りができるところに、役者としての力量を感じます。
 いやいや、今井くんが出してくれているからだよ。それがなければ僕のアプローチも変わっていたと思うし。お芝居もバンドも、相乗効果で生まれるものがあると思うので。言い方が難しいんですけど、柊には依存することを許してくれる器量の大きさがありますよね。玄純の根幹には、誰かに決定権を持ってほしくて、その人の言うこと、やりたいことをするのに、自分の命を捨てることは何も怖くない…という、普通にはなかなかない側面があり、ともすれば自分がない。だから彼は、自分がちゃんとある柊に惹かれるんだと思うんです。
今井 ふたりの共通点といえば、目の鋭さくらいじゃないですか?
 確かに(笑)。本当にお互い持っているものと持っていないものが、うまく噛み合うふたりというか…。いや、逆に噛み合っていないからこそ、一緒にいられる存在と言うべきなのかな。噛み合っていたらまた違う形になっていたでしょうしね。噛み合わなかったところがどう変わるか?というのが、今回の物語かなと思います。

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――特に印象に残っているシーンを教えてください。

坂 核心に迫るところ以外で良いなと思ったのは、玄純が柊の優先順位をひとつ落としたシーンです。本当に何気ない4〜5カットほどのシーンなんですが、収録時の空気もよく覚えていて、印象に残っています。その後玄純は真冬に会いにいくんですけど、それまで「柊がやりたいなら、それをやるのが俺のやりたいこと」と全部柊の言うとおり動いていた玄純が、劇中初めて自ら決めて動いているところじゃないかなと。気付いたらお互いが手に入っていた真冬に、覚悟や執着がないことが、玄純自身引っかかったのかもしれません。真冬に対して負の感情をぶつけるシーンに向かって、動かされる熱量があったのかなと感じました。
今井 僕は全体をとおして、バンドに重きを置いている柊と、恋愛などのプライベートに重きを置いている柊、それぞれに違いがあり、そこを表現するのが難しかったことが印象に残っています。柊はTVシリーズから登場してはいましたが、今回フィーチャーされるに当たり、描かれていない部分もある程度想像で埋めなければいけないところがあって。彼が今までどんな想いを抱え、どんな考えでバンドに取り組んできたのか、次はどういう景色が見たいのか…。自分のなかで感情を作って演じるのに苦労したので、それが印象深いです。柊以外に興味はないなか真冬にぶつけたのは…

――サポートメンバーとして加わった立夏の印象はいかがですか?
今井 めっちゃ喧嘩しましたけど、それこそ相乗効果から来る苦にならない罵り合いで、収録するのはすごく楽しかったです(笑)。まじで息が合わないなー!?とは思いましたけど。似た者同士な部分があるから、余計に。
 確かに、我を出すふたりだからね。面白かったし、あの熱量はこのふたりだから出せるものなんだろうなと感じました。玄純の視点からいくと、ぶっちゃけ立夏はいてもいなくても、どうでもいいんですよ。本当に柊しか見ていないので、「いるんだ、ふーん」くらいで。でも賑やかで、柊が楽しそうにしているならいいんじゃない?という感じです(笑)。

――ではふたりの幼馴染みである真冬については?

 これも玄純視点だと、先ほど話したように、羨ましいというか、すべてを持っているのに覚悟が決まらないのはなぜ?という気持ちがあります。俺が欲しかったもの、欲しいと思っているのに手に入れられないものを全部持っているのに、相手と一緒に殉じる覚悟が持てない理由が分からないと、理解できないところにいる。実際真冬とのシーンでは、それをぶつけていますしね。あれも幼馴染みだから言ったまでで、ただの友達だったら、多分言いもしないと思うんです。柊以外に興味はないし、別にどうでもいいわけですから。その意味では、真冬は玄純にとって、放って置けないとはまた違うけれど、普通の友人には言わないことを言いたくなる存在で、嫌いではないのですが難しい関係性なのかな…と感じます。この幼なじみ4人組は決して仲が悪いとかではないと思いますが、やっぱり玄純はそもそも一歩引いているところがあるのかなって。
今井 僕は真冬と柊の関係性について、特に難しいものは感じていなくて。
坂 柊がそう思ってくれていることが、真冬にとっては救いなんだと思うよ。
今井 そうなんですかね。ちょっと複雑な経験はしてしまっているけれど、よくある普通の友達の延長線上にいる、大事な友人というか…。柊的には「弟分」とも言っていましたけど、真冬的にはどうなんだろう?(笑)

――アフレコ現場でのエピソードを聞かせてください。

今井 これはもう、筋肉ですね! みんな身体に気を遣っていて、糖質制限や筋トレ話をしていました。
坂 あー! そうだった!
今井 お弁当が出たときも、(立夏役・内田)雄馬さんとかが「これはカロリー高めだから、こっちにしよう」と選んだりしていて。そんななか、僕はただ美味しそうなほうを選ぶという(笑)。
坂 僕もメンチカツをいの一番に持っていったな(笑)。全然気にせず、「みんな偉いなー」とか言いながら、チーズおかきをずっと食べていました。長丁場だったので。
今井 1日ぶっ通しで収録だったんですよね。10時間くらいかかったのかな? でも不思議と集中力は途切れませんでした。そのぶん終わった後に、ドッと来ましたけど。みんな帰り道は「もう夜じゃん…」って、へとへとでしたよね(笑)。スタジオに窓がなくて光も入ってこないから、時間が分からなくて、外に出たら「暗っ!」って驚きました。
坂 そうそう、タイムスリップしたみたいだったよね(笑)。終盤には僕らの大事なシーンもあり、1日で録りきれて良かったです。別日だったら、またお芝居が変わってしまっていたかもしれないですし。

――最後に映画を楽しみにしているファンの方々へ、メッセージをお願いします。

今井 TVシリーズ放送から約4年半が経ち、今回の物語を待ってくださっていたファンの方も多いと思います。制作陣も特別な思い入れを持っている作品なので、きっと面白いものが出来上がっているはずです。ぜひ何度も劇場に足を運んでいただき、柊の歌を聴いていただけたら嬉しいです!
坂 これまでしっかりスポットが当たっていなかった玄純と柊ですが、今回の映画を観て玄純の内面を知っていただいてから、改めてTVシリーズを見返していただくと、新たな発見があるのではないかなと思います。今まではただ優しく寄り添っているように見えた姿が、ちょっと違うかも…?と気付きがあるかもしれません。ぜひ映画を5回ほど観ていただいたあとに、TVシリーズを見直してみてください。
今井 最低5回はぜひ!
 どうぞよろしくお願いします。

 

『映画 ギヴン 柊mix』1月27日より公開

ストーリー 高校生の立夏は春樹、秋彦と組んでいたバンド・ギヴンに、真冬をボーカルとして迎える。フェス出場をかけたコンテストに出るが、ライブ審査で落ちる。一方、デビューが決まっている真冬の幼なじみ柊と玄純のバンドsyhは、ギターのサポートに立夏を指名する。

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■スタッフ
監督:橋本能理子
原作:キヅナツキ

■キャスト
矢野奨吾
内田雄馬
中澤まさとも
江口拓也
今井文也
坂 泰斗

HP: https://given-anime.com/
X(旧Twitter):@given_anime
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

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