2024年2月号のPASH!にて、EXILE/FANTASTICSの世界さんと植木 豪さんが語り合った「もし世界さんが豪さんの舞台に出るとしたら…」というやりとり。当時はひとつの想像として語られたものでしたが、この春、その話が現実とものとなりました。
植木さんが演出を手がけ、5月1日から東京公演もスタートする『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《MAD TRIGGER CREW & どついたれ本舗 feat. 道頓堀ダイバーズ》に、世界さんが舞台オリジナルキャラクター・寶井灯依里役として出演しています。改めて、当時の対談の一部をお届けします!
2.5の舞台は 最先端の表現方法
植木(以下、植) こうやってまじまじと話すのは初めてだけど、一度ダンスセッションをやったからここまで仲良くなれたっていうのはあるよね。踊ると、「これだけやってきてるんだ」っていうのが直に伝わるから。
世界(以下、世) そうですね。そのとき、『ジャンプ』の話もしたりとかして。今日はあらためてダンサーや演出家としてのお話を聞きたいなって思ってます。僕にとっては、殿上人みたいな人なんで!
植 そんなことないでしょ(笑)。世界くんは踊りだけを見るとストイックでもっと怖い人なのかと思ってたから、趣味で漫画の話とか出来るのが意外だった(笑)。
世 確かに昔はぶっきらぼうでしたけど、今は踊りもちょっと丸くなったんですよ?(笑)
植 なってないよ~。『BATTLE OF TOKYO』のステージなんかダンスじゃなくバトルって感じに仕上がってて、すごくいいなと思ったもん。
世 そういう意味だと、豪さんも丸くはなってないですよね?
植 僕は、もうなれない(笑)。
世 僕的に豪さんはダンサーとして尖った先輩のイメージだったから、2.5次元の舞台演出とかをやり始めたのは意外だったんですよ。あれは、なにがきっかけだったんですか?
植 世界最大の演劇祭「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」で僕が手掛けた『BREAK FREE』っていう舞台が賞を受賞して、もっと舞台を活動の軸に据えていこうって決めたタイミングでお誘いを受けたんだよね。
世 2.5次元系にとっつきにくさとかは感じなかったですか?
植 まったくないし、むしろやりたいって思った。そもそも自分のなかで『スパイダーマン』とか『バットマン』みたいな海外の最新ヒット映画は全部2.5枠だったから、2.5の舞台もアニメやコミック作品を最新の映像技術と一番新しい音楽を総動員して立体化する、いわば世界の最先端表現って捉えていたんだよね。だから自分がその舞台チームに入るなら、絶対に日本の最先端の2.5にするぞって思ったし、2.5の舞台を日本が誇るカルチャーにしたいなっていう気持ちが大きくて。
世 いいですね。僕は豪さんの作った舞台を観て、「あの作品が、めっちゃカッコよく視覚化された!」って本当にワクワクしました。豪さんにとっては、稽古を通して役者さんを育てる感覚もありますか?
植 あるある。はじめから歌や踊りを得意としている役者さんばかりではないから、そのときは「任せてください!」って。
世 そう言い切れるのがカッコイイですよね。
植 『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』(以下、『ヒプステ』)は特に、ラップのスキルもめちゃくちゃいるし、ダンスもすごく難しいからキャストも大変だけど、「絶対できる、お前なら絶対いける」ってずっと支え続けると、“このキャラができるのは、コイツしかいない”っていうくらい見事にキャラを確立してバッと自分の限界を越えたりするんだよ。
世 演出面で意識していることってなんですか?
植 シリーズものだと、最初に2作目以降の演出も決めて振り分けたりはしているかな。全部のネタを1作目に詰め込むと2作目から先が薄くなっちゃうから、ネタの大きさとパンチ力を考慮して振り分けておく必要があるんだよ。長い時間を掛けて作るものだから制作期間中に新しいネタが溜まってきて、それを足したりもして。
世 何度か『ヒプステ』を観させてもらったんですけど、僕は“D4”がお客さんに媚びない感じを貫き通してたのがすごくいいなと思ったんです。で、それを豪さんに伝えたら「そのほうが絶対お客さんが喜ぶと思った」ってサラっと言っていて。それを聞いた瞬間、演出・お客さん・演者としての視点を全部兼ね備えた豪さんだからこその言葉だなって思ったし、「これはもう、センスでしかないな!」って。
植 ライブの盛り上がりがすごいから、ノってくると演者が客席を煽りたくなる気持ちもすごく分かるんだけど、「このキャラは、煽るかな?」って考えると、何も言わずに振り返って帰るほうがハマったりもするんだよね。
世 まさにその通りだったんです。お客さんがみんな「キャー!」ってなっていたから、すげぇなって思って。あと、ディビジョン・ダンス・バトル“D.D.B”もいい味を出していますよね。“D.D.B”だけで出てきたときのお客さんの盛り上りがいちダンサーとしてはすごく嬉しいです。
世界さんが 豪さんの舞台に出るとしたら?
世 『ヒプステ』が始まって4年くらい経ちますけど、スタートしたときと今とで豪さん的に変化はありますか?
植 あまり変わってないし、お客さんに驚いてもらいたいっていうのと、チームのみんなに我慢せずに出し切ってもらうっていうのはずっと大切にしてるかな。例えば照明さんや映像さんにはどこを引くかは演出家として俺がちゃんと考えるから全力でやってほしいってお願いしてる。ダンスに関しても“D.D.B”のみんなには抑えずに踊ってもらって、演者がそれを超えていこう!っていうスタンスは変わってないね。メインの人を目立たせるために“D.D.B”が引くと全体がトーンダウンするし、“D.D.B”が100%を出したら120%で行けるキャストたちが揃ってるって信じてるから、みんなでもっと大きなエネルギーを生み出すぞ!っていうことを何より大事にしながらやっているよ。
世 それってアメリカンな考え方ですよね。ブロードウェー方式というか。
植 昔はバックダンサーは踊りも抑えて、格好も抑えてっていうのが当たり前だったけど、今はみんなしたいようにすることがパワーになるし、そうじゃないとダメだなとも思うんだよ。今の人たちは新しいものを柔軟に取り入れて、そこからムーブメントを作る力もちゃんと持ってるしさ。
世 バックダンサーとかPaniCrewをやってるときから、そういう考え方でしたか?
植 そうだね。特にPaniCrewはダンス界で笑われているやつらが集まって、一番デカいやつ、小さいやつ、太ってるやつ、みたいに個性の塊だったし、正直メンバーが無茶苦茶やってくれたから僕もやりやすかったんだよ。暴れて目立ったもん勝ちみたいな時代で、一歩間違えると“ダンサー=不良”って見られたりもしたけど、なにせダンス人口自体が少ないから踊れることが武器になったし、色んな所に呼ばれて沢山踊れてすごく楽しかったんだよね。そう思うと、今はダンスがすごくクリーンなスポーツにカテゴライズされるようになったなって思う。
世 僕らはちょうど暴れている先輩もいたし、ちょっと整えて次の時代に備えないとな…っていう過渡期を見てきた世代なんですよね。
植 俺からすると世界くんたちの世代は、アンダーグラウンドのクールさやスタイルをそのままメジャーシーンに持ってきてて、すごくカッコイイことしてるなって思うよ。
世 でも、それはやっぱり豪さんを含めた先輩方が“ダンサー”っていう職業をメジャーにしてくださったお陰なんですよ。メンバーの(木村)慧人が出た『BREAK FREE STARS』を観たときは、ヒップホップを題材にした舞台を作るなんてまだまだ豪さんは新しい場所を目指してるんだなって思ったし、豪さんと仕事出来る慧人が羨ましかったし(笑)。
植 ぶっちゃけ、俺はこれまで何度も世界くんの名前を挙げてるんだよ。
世 僕が豪さんの舞台に出るとしたら、どんな役になるんだろう?
植 ジョーカーみたいな、ダークヒーロー的なのとか似合いそうだよね。いるだけで存在感があって、人気も出るキャラ…みたいな。
世 最高ですね。寡黙なキャラ、ウェルカムです!(笑) ダークな演出もすごくカッコよかったんですけど、そのアイデアって何から得ることが多いですか?
植 一番は、やっぱり映画かな。必ず映像作品を1日に1本観ることを習慣にした時期があって、「これを舞台でやるなら…」って考えたりしながら観てる。でも『BREAK FREE STARS』で急遽代役出演をしたときは、「なんでこんなに走るんだ? マジでこのデッカイ柵を越えるのか?」って自分の演出を恨んだりもしたなぁ…思いがけず慧人くんと共演できて嬉しかったけど(笑)。
世 慧人にとっては一番触れてこなかったジャンルへの挑戦だったし、メンバーも「いい機会だから、いっぱい吸収してこいよ」って激励してたんです。僕らが観に行ったら、急にアドリブでウィンドミルとトーマスみたいなの入れてて。
植 見せたかったんじゃない?
世 本人は「別に」って強がってましたけど(笑)。
植 慧人くん、本当にいい子だよね。さっき世界くんの名前を挙げた話をしたけど、俺はFANTASTICSって実はすごく注目してて一緒に面白いことやりたいなって思ってるグループなんだよ。
世 それはめちゃめちゃ嬉しいし、本当に今年こそはなんか一緒にやりたいです!! 豪さんは、’24年をどんな年にしたいですか?
植 いい意味でこれまで思いっきり出し尽くしてきた感じがあるから、ここでもう一回フルモデルチェンジしたいし、実はそのために仕込んでることがいっぱいあるんだよね。パフォーマーとしても、もう一段階上がるというかちょっと違うところに行きたくて、それは新しい挑戦になりそうな予感がしてる。世界くんは?
世 ツアーを思いっきりやりたいのと、もっとダンスに力を入れて久々にバトルしたりクラブのショーとかにも出たいです。昨年D.U.N.K.に出させてもらったら若手のグループの勢いがすごくて、俺らの世代ももうちょっと頑張らないとなって思ったんですよ。あと豪さんやToyotakaと舞台もやりたい! 違うフィールドにも挑戦して、もっと自分の幅を広げていきたいです。
植 じゃあ次に会うときは、お互いに今の自分を越えた姿で会おう!
世 頑張ります!
Text=犬飼かおり
(※PASH!2024年2月号より抜粋)
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