“とあるクリエイター” Nakamuインタビュー!初の個展でアートを破壊する「荒らされたギャラリー」に込めた挑戦と遊び心

PASH! PLUS
スポンサーリンク

 渋谷・hmv museumにてWhite Tailsの元メンバーであり“とあるクリエイター” Nakamuによる初の個展 「とある個展:荒らされたギャラリー」 がついにスタート!(11月3日まで) 展示会場には、描き下ろし作品の数々とともに「何者かに荒らされた」痕跡が散りばめられ、観る人を物語の中へと誘う仕掛けが。自ら描いた絵を“破壊”するという大胆な手法の裏にある想いとは? 展示のコンセプトから今後の展望まで、本人にたっぷり話を聞きました。

IMG_1774

Nakamuにインタビュー!「荒らされたギャラリー」に込めた挑戦と遊び心とは?

――個展のタイトル「荒らされたギャラリー」には、どんな思いが込められているのでしょうか?

 もともと絵を描きたいと思っていたんです。最終的には絵本を作りたいという創作意欲もあって、そのためのトレーニングとして今年から少しずつ描き始めました。アナログで絵を描いていたのですが、「どうせ描くなら個展をやってみよう」と思い立って。たくさん絵を描く状況を作れば上達するんじゃないかと、自分を追い込むような気持ちで決めたんです(笑)。
 ただ、普通の個展をやるのは気が進まなくて。せっかくなら少し奇をてらったことをしてみたいと思い、ギャラリー全体を使って“体験”に変換する展示を考えました。ぐちゃぐちゃに壊されたギャラリーという設定にしたほうが、面白さが増して、楽しめる人も増えるんじゃないかと。間口を広くする意味でも、ギャラリーを“荒らして”みたんです。
 「誰が荒らしたのか」という点は、あまり重要ではありません。絵は描いた瞬間に完成しますが、そこに破壊を加えることで欠損や変化が生まれ、意味合いが変わっていく。それをすべての作品に持たせられたら、「二段階のアート」になるんじゃないかと思いました。自分の描いた絵を自分で壊すことで、意味を二段階にする――そんな遊びを作品ごとに試してみたんです。

IMG_1782

 

――自分の作品を壊すのは勇気が要りそうです。そのあたりに躊躇はありませんでしたか?

 僕がまだ初心者だったからこそ、できたことだと思います。長く絵を描いてきた人にとっては、自分の作品を破壊するのはすごく苦痛かもしれません。でも僕は「破壊して初めて完成するアート」だと考えていましたし、壊す前の状態ではまだ“完成していない”感覚がありました。
 実際にギャラリーで設置を始めてから、バシバシ壊していくうちに、ようやく自分の中で作品として完成したんです。たとえばタバコの絵は屋外で燃やしたのですが、燃やし切った瞬間に初めて「完成した」と思えました。 「Pas Parfait(パ・パルフェ)」という絵は、フランス語で“完璧じゃない”という意味です。具材が詰まっている部分が破損しており、破られた箇所にはラフスケッチが残っています。つまり、壊される前からすでに未完成。見た目は完成しているようで、元に戻しても未完成――そんな“完璧じゃない”をテーマに、破壊とことば遊びを掛け合わせています。

IMG_1762

――来場者にはどんなことを感じてほしいですか?

 僕自身、アートにすごく詳しいタイプではなく、美術展に行っても抽象的な表現は読み取るのが難しいと感じることが多いんです。だから今回は、もっとカジュアルでわかりやすく、気軽に楽しめる“高尚すぎないアート展示”を作りたいと思いました。作品には、言語的に解釈できるものが多くあります。たとえば「雨の日」という作品では、実際に傘を差し込んでいます。これは“雨の日に傘をさす”という言葉を物理的に表現したもの。アートを言葉に落とし込むことで、より多くの人に意図を伝えられるのではと思いました。見た目の入り口はビジュアルですが、噛み砕くと“言葉の解釈”にたどり着く。そんな構造が、アートに慣れていない方にも伝わりやすいと思います。作品には「作者の意図」に気づくきっかけとなるよう、さまざまなフックを散りばめました。「これはこういうことがしたかったのかな」と感じながら見てもらえたらうれしいです。また、リピーターの方には作品の前に立つと聞ける音声ガイドを用意しています。各作品に込めた狙いや、ことば遊びの背景なども楽しんでもらえると思います。

IMG_1783

IMG_1781
――「絵を描きたかった」とのことですが、以前から描いていたのでしょうか?

 いえ、全然(笑)。本本当に初心者で、趣味で時々描いていたくらいでした。ただ今回、個展のために集中して描き始めて1ヶ月で20枚ほど描きました。ただ描くだけじゃなく、“壊された後の姿”を想像しながら描かないといけないのが大変でした。たとえば「中心を削る」と決めたら、中心で割れるように構図を考えないといけない。どういう壊し方をすればコンセプトの意味が伝わるか、その案出しが一番しんどかったです。

――配信者としての経験は、今回の作品づくりに影響しましたか?

 まったく関係ないですね。ほとんど裸一貫でクリエイティブと向き合う展示です。個展名にも僕の名前は入っていませんし、『とある個展~荒らされたギャラリー~』というタイトルのとおりです。だから僕を知らなくても、日本語がわかる人なら誰でも楽しめる内容になっています。いい意味でこれまでの活動とは切り離した“新しいスタート”として、この個展を位置づけています。

――将来的に絵本を作りたいとのことですが、どんな内容を考えていますか?

 今27歳なんですが、30歳までに絵本を出したいという長期目標があります。最近、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の原作を読んで感銘を受けました。英語で書かれたナンセンスな言葉遊びを、日本語で再構築した世界観を作ってみたいと思っています。

 たとえば、“首が天まで伸びてしまったキリンが、『首が長いね』と言われたら、『ずっと誰かを待ってたんだけど、もう誰を待ってたのか忘れちゃったよ』”――そんな会話を絵本のなかで描きたい。大人は読み聞かせながら新しい発見を得られ、子どもは純粋にビジュアルを楽しめる。そんな奥行きのある作品を作れたらと思っています。

IMG_1775[1]

――最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。

 今回は「初心者が描いたものもアートと呼べるのか」「一度完成したアートを壊した後の作品もアートなのか」という、“アートの定義”への挑戦でもあります。
 あまり難しく考えずに来てもらって、絵を見て感じたことと、僕が描くときに考えていたこと。その違いを楽しんでもらえたらうれしいです。答えを探す場というより、僕との“意見交換”だと思って見てもらえたらいいなと思います。

「とある個展:荒らされたギャラリー」
会期:2025年10月18日(土)〜11月3日(月)
会場:hmv museum 渋谷6
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-21-3 渋谷 modi 内6F

受付:11:00~20:30(最終入場20:00)
チケット料金:1500円(税込) ※最大4枚まで同時購入可能

HMV Museum 渋谷6 公式X:@HmvBooksShibuya
問い合わせ:support@studioluca.jp
公式X、instagram、tiktok:@toarukoten

The post  “とあるクリエイター” Nakamuインタビュー!初の個展でアートを破壊する「荒らされたギャラリー」に込めた挑戦と遊び心 first appeared on PASH! PLUS.

Source: PASH! PLUS

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
PASH! PLUS
PASH PLUSをフォローする
アニメ速報ちゃんねる
タイトルとURLをコピーしました