アニメ『デジモンテイマーズ』25周年記念イラスト解禁! 小中千昭さん「『serial experiments lain』を書いていた経験とも繋がっていると思います」作品を振り返るインタビューも公開

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 東映アニメーションは、2026年に放送25周年を迎えたTVアニメ『デジモンテイマーズ』の25周年記念イラストと、シリーズ構成を務めた小中千昭さんへのインタビューを公開しました。

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 2001年4月1日より放送開始したTVアニメ『デジモンテイマーズ』は、2026年で25周年を迎えました!25周年を記念して、総勢20キャラクターが集合した25周年記念イラストを公開! 主人公のタカトとパートナーであるギルモンを中心に、オープニング映像を彷彿とさせるような”未来を駆け抜ける”1枚に仕上がっています。

 さらに、TVアニメ『デジモンテイマーズ』にてシリーズ構成を務めた小中千昭さんへのオフィシャルインタビューも公開!25周年を迎えた今、『デジモンテイマーズ』の制作秘話に迫ります。

TVアニメ『デジモンテイマーズ』シリーズ構成 小中千昭さんインタビュー

『デジモンテイマーズ』はジュヴナイルに本気で取り組めた唯一の作品

――今年、『デジモンテイマーズ』が25周年を迎えました。今あらためて本作を振り返ると、小中さんの中ではどのような作品として残っていますか?

 2018年に発売されたBlu-ray BOXの特典CDドラマを書いたのが2017年で、その時に、それまで少し距離ができていた『テイマーズ』の記憶が凄まじく甦ってきたんです。個人的なブームのピークにいた時期でもありました。

 その後、20周年があり、今回25周年と、こうして祝っていただける作品になったことは、とてもありがたいと思っています。私にとっては、ジュヴナイルに本気で取り組むことができた、唯一の作品ですね。

――当時、『デジモンテイマーズ』にシリーズ構成として参加されることになった経緯を教えてください。

 大きかったのは、『デジモンアドベンチャー02』第13話「ダゴモンの呼び声」を担当したことだと思います。もともとの発端は無印の制作途中にあったようで、角銅博之さんが登場させるデジモンを検討している中でダゴモンに目を留めた、と聞いています。それがクトゥルー神話のダゴンを思わせる存在だったこともあり、小中に書かせようという話になったようなんです。

 実際にそのエピソードは『02』の第13話として形になりましたが、プロデューサーの関(弘美)さんはその過程をご覧になっていたと思いますし、それが3作目の『テイマーズ』で声をかけていただくきっかけの一つになったのではないかと思います。

 それに、『テイマーズ』のシリーズディレクターは貝澤幸男さんでした。貝澤さんとは以前、『週刊アニメDXみいファぷー』内の『ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー』でご一緒していて、私がシリーズ構成・脚本、貝澤さんがシリーズディレクターを担当していました。ですから、また貝澤さんと1年もののシリーズを作れるという意味でも、とてもやり甲斐を感じました。とにかくセンスの塊のような方でしたから。

――『テイマーズ』は、現実世界を舞台にした設定や、終盤に向けて深まっていくシリアスな展開など、シリーズの中でも独自の色を持つ作品だと思います。当時、前2作とは違う『デジモン』を作るうえで、特に意識されていたことはありましたか?

 今『DIGIMON BEATBREAK』をやっていますが、1年を通じてのオリジナル・ストーリーのシリーズは、当時でも少なかったんです。玩具展開をきちんと織り込みながら、50話余りを通して語れる物語の可能性を最大限に活かしたいと思いました。

 ただ、前2作とまったく無縁というわけではありません。裏設定的には、実は繋がっているというか。タカトは太一や大輔に憧れていましたからね。前2作が存在したうえで、その先にある新しい『デジモン』を作る意識はありました。

『テイマーズ』で描いた“未成熟な自己と他者”

――『テイマーズ』は、現実世界を中心とした設定や、デジモンを“パートナー”として描く距離感など、独自の要素が多い作品です。そうしたアイデアは、当時の打ち合わせの中でどのように生まれていったのでしょうか?

 突き詰めると、まだ成熟していない子どもたちが、自分とは違う存在とどう向き合っていくのかを描いたシリーズだったと思います。

 『アドベンチャー』では、バトルになると子どもたちはパートナーデジモンの戦いを見守る立場になることが多かったですよね。もちろんそれはそれで成立しているのですが、『テイマーズ』では、人間の子どもたちがデジモンとどう関わり、どう一緒に戦うのかをもう少し踏み込みたかった。タカトにとってギルモンは、自分が空想で生み出した存在でありながら、やがて自分の思い通りにはならない、でもかけがえのない“他者”になっていく。その経験を通して、タカト自身も成長していくんです。

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――タカト、ジェン、ルキという3人のテイマーは、それぞれデジモンとの向き合い方が大きく違います。メインキャラクターを作るうえで、最初に大切にされたことは何でしたか?

 タカトは、前2作の主人公とは違うタイプにしたいと思っていました。太一や大輔のような、いわゆる主人公らしい強さを最初から持っている子ではなく、見ている子どもに近い、もっと普通の感覚を持った子にしたかったんです。もちろん、泣き虫にしようと思っていたわけではないのですが、見返すと結構泣いていますよね(笑)。でも、暗い子ではなくて、感じ方がとても素直な子なんです。

 その普通の子が、ギルモンと出会い、状況に巻き込まれていく中で、「自分が行かなければいけない」と思うようになっていく。つまり、冒険を通して成長していくわけです。そういう過程を描くためには、最初のタカトをあまりヒーロー的に見せすぎないことが大事でした。今思えば、その見せ方は少し野心的だったのかもしれません。

 ギルモンは、タカトが空想の中で生み出したデジモンです。一方で、ジェンリャのパートナーには、関さんが気に入っていたテリアモンが置かれました。そしてルキについては、女性のテイマーを入れるなら、パートナーのデジモンを強い存在にしたいという話がありました。レナモンのデザインが持っている強さやストイックさを考えると、ルキ自身も、それに釣り合う強いキャラクターである必要があったんです。

 だから初期の3人は、パートナーデジモンに対する向き合い方がかなり違っています。タカトは自分が生み出した存在としてギルモンを受け止めていく。ジェンリャはテリアモンを戦わせることに迷いを持っている。ルキは最初、レナモンを強さの象徴として見ている。かなり極端に分けていますが、そこから少しずつ関係が変わり、最終的には“パートナー”としてまとまっていくことを想定していました。

――タカトとギルモンの関係は、“パートナー”でありながら、親子のようでもあり、創作者と創造物のようにも見えます。この2人の関係性は、どのように考えて作られていったのでしょうか?

 ギルモンという存在は、野沢雅子さんに演じていただけたことが本当に大きかったと思います。タカトが空想の中で生み出したデジモンでありながら、ただ可愛いだけでも、ただ強いだけでもない。タカトの想定を越えて、ひとつの人格を持った存在として成長していく。その説得力を、野沢さんのお芝居が支えてくださっていました。

 タカトは、自分が思い描いたデジモンを、現実に存在する“パートナー”として受け止めていきます。最初は自分の創造物のように感じていたものが、やがて自分の思い通りにはならない他者になっていく。そこにタカトの戸惑いもあるし、成長もある。ギルモンとの関係を通して、タカト自身が少しずつ変わっていくところが、『テイマーズ』らしい面白さだったと思います。

――ルキは当初、デジモンを“強さ”で見ていたキャラクターでしたが、物語が進むにつれてレナモンとの関係も大きく変化していきます。ルキの変化は、どのように描こうと考えていましたか?

 ルキのパーソナルなエピソードは、吉村元希さんが多く書かれています。強気で、最初はデジモンを“強さ”として見ていたルキが、物語の中で少しずつ変わっていく。その過程を、吉村さんのシナリオを読むたびに新たな発見がありました。

 レナモンも、最初は精神的に成熟しているように見えるんです。でも、リアル・ワールドのことや人間の関係性を、最初からすべて理解しているわけではない。ルキのそばにいることで、人間の感情や距離感を少しずつ知っていった部分もあると思います。ルキがレナモンとの関係を通して変わっていったように、レナモンもまたルキの近くにいることで変わっていった。二人は一方的にどちらかが成長する関係ではなく、互いに影響を与え合いながら“パートナー”になっていったのだと思います。

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デジタル・ワールドをネットワークとして再定義した理由

――『テイマーズ』は子ども向けアニメでありながら、現実世界とデジタル・ワールドの境界、ネットワーク、恐怖や喪失感など、かなり踏み込んだテーマも描かれています。どこまでを子どもたちに届ける物語として描くか、そのバランスは意識されていましたか?

 2001年当時、小学生にとってインターネットは、まだ身近なものではなかったと思います。今のように、誰もが日常的にネットに触れている時代ではありませんでした。ただ、『デジモンアドベンチャー』の頃から、視聴者の中にはすでに「デジタル・ワールド」という言葉や概念が入っていた。そこは大きかったと思います。

 一方で、前2作のデジタル・ワールドは、現実のネットワークというより、異世界やパラレル・ワールドに近い印象もありました。もちろん、それはそれでとても面白いものだったのですが、『テイマーズ』ではもう少し現実のネットワークに近いものとして捉え直したかったんです。デジタル・ワールドをネットそのものとして再定義する。その発想は、1998年にネットワーク・ホラー的な作品である『serial experiments lain』を書いていた経験とも繋がっていると思います。

 もちろん、当時の子どもたちにとって難しい部分があったことも分かっています。ただ、全部をその場で理解できなくてもいいと思っていました。小さい頃に見て「かっこいい」「すごい」と感じたものが、後から見返した時に「あれはこういう意味だったのか」と分かることがある。そういう引っかかりが作品の中に残ればいい、という気持ちはありました。

――デ・リーパーの存在は、従来の“敵キャラクター”とはかなり異なる印象があります。あの存在を物語の終盤に置いた理由や、描くうえで意識したことを教えてください。

 最終的に戦う相手を、単純に「悪いデジモン」にはしたくなかったんです。『テイマーズ』では、デジタル・ワールドをデジモンだけの世界ではなく、もっと広いネットワークのようなものとして捉えていました。そこにデジモンというデジタル生命体が存在している。そう考えると、そのさらに外側に、デジモンたちにとっても脅威になる存在がいてもいいのではないかと思ったんです。

 デ・リーパーは、タカトたちだけが戦う相手ではありません。デジモンたちも、山木(満雄)やジャンユーたち大人も含めて、それぞれの立場から向き合うことになる。そこが大事でした。子どもたちにとってデジモンが単なるキャラクターではなく、本当にそこにいる存在になった時、その世界に何が起こるのか。そういうシミュレーションをかなりしていたと思います。

 ただ、前2作を経てアニメの中で作られてきたデジモンのイメージもありますから、その定義を急に変えてしまうと違和感が出るかもしれない。そこは制作現場でも慎重に考えながら説明していきました。『テイマーズ』としては、デジモンたちが力を合わせて立ち向かう相手を、デジモンの外側に置くことが必要だったんです。

インプモンとベルゼブモンが導いたドラマ

――当時の制作現場で、特に印象に残っている打ち合わせや、スタッフ間でのやり取りはありますか? 『テイマーズ』の方向性が固まっていくうえで、大きかった出来事があれば教えてください。

 一番印象に残っているのは、やはりインプモンとベルゼブモンですね。当初、主人公のパートナーデジモンとして、インプモンの案が提示されていたんです。ただ、私としては、前々作のアグモンのような怪獣的な存在と子どもが出会う物語にしたいという思いがありました。そこで改めて提示されたのがギルモンです。

 とはいえ、インプモンというキャラクターをそのまま軽く扱うことはできないと思っていました。主人公のパートナー候補として出ていた存在だからこそ、物語の中でも大きな役割を持たせる必要がある。結果的に、インプモンからベルゼブモンへと至る流れは、シリーズを通して非常にダイナミックなドラマになったと思います。

 このあたりの熱量のある物語は、前川淳さんの脚本や芝田浩樹さんの演出によるところも大きいです。私一人では到達できなかったところまで、スタッフの力によってキャラクターのドラマが深まっていったと感じています。

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――レオモンの出来事も含めて、ベルゼブモンの物語は非常に印象的です。

 レオモンの出来事は、物語として非常につらい展開ではあります。ただ、ベルゼブモンという存在を大きなドラマの中に置くためには、どうしても避けて通れない出来事でした。インプモンが力を求め、ベルゼブモンへと至った先に何が起こるのか。その結果をきちんと描かないと、彼の物語は成立しなかったと思います。

 同時に、タカトにとっても大きな転機でした。自分の感情が暴走した時、力を持つことがどれだけ危ういものになるのか。そこを子どもたちにも感じてもらいたかったんです。あの出来事があるからこそ、タカトはギルモンとの関係を見つめ直すことになるし、ベルゼブモンのその後のドラマにも重みが生まれていると思います。

――『テイマーズ』ならではの要素として、カードスラッシュもあります。あのアイデアや映像表現については、どのように受け止めていましたか?

 カードで戦うというアイデアが出た時に、アニメとしてどう見せるかは大きな課題でした。ただカードを使うだけでは、画としての動きが弱い。そこで、カードをスラッシュするアクションがあり、それによってデータがロードされるという見せ方になっていったのだと思います。

 ただ、実際に映像になったカードスラッシュは、私の想定をはるかに超えていました。あのスラッシュバンク※1は、貝澤さんの演出が本当に素晴らしかった。アクションとしての気持ちよさもありますし、カードを使ってデジモンと一緒に戦うという『テイマーズ』ならではの感覚が、あの一連の動きにしっかり込められている。今見ても、まったく古びていないかっこよさがあると思います。

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――物語は最初からすべて決まっていたというより、制作の中で作り上げていった部分も大きかったのでしょうか?

 物語のすべてを、最初から細かく設計していたわけではありません。大きな方向性や着地点は意識していましたが、実際には作りながら考えていった部分も多かったです。たとえば、樹莉のパートナーがレオモンになることも、最初から決まっていたわけではありませんでした。

 他のライターさんや演出の方、関さんも交えて、「ここでこうなったら、次はこういう展開が考えられるんじゃないか」と話し合いながら、少しずつ物語を積み上げていったんです。決まった結末に向かって一直線に進めるというより、現場で出てきたアイデアを拾いながら、キャラクターや物語が有機的に動いていくことを大事にしていました。

 もちろん大変ではありましたが、その分、自分一人では思いつかなかった展開にも出会えました。そういう意味でも、『テイマーズ』はスタッフみんなで作り上げていった実感の強い作品でした。

25年経っても愛される『テイマーズ』への思い

――25年経った今も、『テイマーズ』を大切にしているファンが多くいます。当時リアルタイムで観ていた人、そして今新しく出会う人に向けて、あらためて本作のどんなところを受け取ってほしいですか?

 南米やドイツに熱心な『テイマーズ』のファンがいることは以前から知っていましたが、昨年上海に行った時にも、中国の『テイマーズ』ファンの方たちとお会いする機会がありました。海外でも大切にしてくれている人がいるんだなと、あらためて感じましたね。

 『テイマーズ』は後半に向けて重い展開が続いていく作品です。1話ごとのバラエティ性よりも、長い物語として積み上げていく構成を強めていたところがあるので、当時から受け止め方は分かれたと思います。ただその分、私たちは本気で、忘れられないシリーズにしようとしていました。その時に込めたものが、25年経った今になって、あらためて届いているのかもしれないと感じています。

 新しく見てくれる人がいるのかと思っていましたが、25周年のタイミングでYouTubeでも毎週2話ずつ無料公開されていましたし、そこで初めて『テイマーズ』に触れる人もいると思います。リアルタイムで観ていた方はもちろん、今出会った方にも、好きになってもらえたら嬉しいですね。

――あらためて、小中さんにとって『デジモンテイマーズ』とはどのような作品ですか?

 作っている時は、決して楽しいことばかりではありませんでした。悩むことも多かったですし、当時の自分はかなり突っ張っていたところもあったと思います。ただ、それだけ本気で向き合っていた作品でもありました。スタッフもそれぞれの持ち場で、本当に力を尽くしてくれていたと思います。

 今のアニメの作り方とは違う部分もあるでしょうし、私のやり方も、今では古いと言われるかもしれません。でも、子どもの頃に見た時には分からなかったものが、大人になって見返した時に少し違って見えることがある。『テイマーズ』の中に、そういう引っかかりや奥行きが残っているなら、とても嬉しいです。

 25年経っても誰かの中に残っていて、さらに新しく出会ってくれる人もいる。そのことは、本当にありがたいですね。

※1:特定のシーンの動画を流用すること

(C)本郷あきよし・東映アニメーション

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