2021年4月よりbilibili動画にて配信され、わずか4カ月で世界での総再生回数1.6億回を突破したオリジナルアニメーション『時光代理人 -LINK CLICK-』。
本記事では『PASH!』5月号に掲載された天門さん＆yuma yamaguchiさん＆av4ln（kent watari）さんによる楽曲解説の一部を特別に掲載します！
『時光代理人 -LINK CLICK-』楽曲解説
「癒やし×オシャレな音楽で彩る『時光代理人 -LINK CLICK-』の世界
本作の音楽を手がけたお三方の座談会が実現！ 今回初めて制作をともにした3人は、それぞれの強みを活かしながら、刺激も与え合って作業に臨めたようです。
リ監督が求めていた癒やしとオシャレなローファイ・ヒップホップを中心とした楽曲の数々がどのように作られたのか、制作当時のエピソードを教えていただきました。
それぞれにしっかりあった丁寧なフィードバック
――物語や世界観に感じた魅力は？
天門：写真にダイブして撮影当時に入り込んでいくという設定が、SFチックで面白いなと思いました。
yuma：まず最初に思ったのが、日本作品とはやはりどこか違うなと。第１話からダークな雰囲気が漂っていましたし、音楽の当て方にしても、例えば第１話本編で最初に流れる曲（M09『Countdown』）はローファイ・ヒップホップの楽曲をというオーダーから作ったのですが、劇伴ではあまり頼まれない曲調だったのでかなり新鮮でした。
av4ln：現代的かつ少し重ためなテーマも面白く、自分も好きな作風で、思い入れのある作品になりました。僕は劇伴制作に関わること自体、今回初めてだったので、制作当時はとにかく求められている音楽を作ろうと一生懸命だったことを覚えています。
――リ監督は作品テーマのひとつに“癒やし”があり、それなら音楽は天門さんにと考えたとおっしゃっていたのですが、何か監督からのお言葉で印象深かったものはありますか？
天門：癒やしという言葉自体は、当時出てきていなかったと思うのですが、「学生時代の思い出」といった制作におけるキーワードはいくつかありました。「青春時代の淡い感じ」とか。
yuma：曲によって「ここは青春を思わせる曲をください」と、レファレンスがあったということですか？
天門：そうです、そうです。
av4ln：確かに全体のテーマとして切なさがある感じはしますよね。
天門：リ監督はシーンごとに明確な音楽のイメージをお持ちだったのですが、文字だけのやりとりだとなかなか擦り合わせが難しいこともあり、中国に限らず世界中のいろんな楽曲の参考資料もいただきながら進めていました。
yumaそうだったんですね！ 僕たちは監督と直接お話ししたことはないのですが、「時計の針の音をサンプリングで入れたらどうか」とか「逆再生したら面白いんじゃないか」といったアドバイスは、ちょくちょく文面でいただいていました。このふたつは特に印象に残っている言葉ですね。
av4ln：僕に求められていたのはローファイ・ヒップホップだったので、オーダーに忠実に沿う形で作っていっていましたが、修正指示も納得できるものばかりで。「ここはもう少しダークなほうがいい」といったように、音楽の内容について、一人ひとりしっかりフィードバックをいただけていたなと感じます。
yuma：監督はすごく音楽に詳しい方という印象がありますよね。
天門・av4ln：うんうん。
av4ln：音楽にもこだわっていることが伝わってきて、自分も応えられるようにと思っていました。
中国の音楽シーンに見る多様性やクオリティの高さ
――楽曲のオーダーや、担当楽曲の割り振りについても教えてください。
天門：制作する音楽については、このシーンに当てる曲という指定と、キャラの心情を表した曲という指定の、両方あったように思います。そこからも、ある程度練られた状態でメニュー出しが来ていたのかな？ という印象です。
yuma：僕らのほうは、先ほど挙げた第1話の最初にかかる曲という場面の指定があった以降は、日常の曲といった形でオーダーがありました。
av4ln：楽曲は基本的にyumaさんに割り振っていただきながら、大体半分ずつ担当しています。
yuma：それにプラスして、僕は天門さんが作られた曲のオーケストレーションもお手伝いさせていただいたりしていました。
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Source: PASH! PLUS
