『ブルーピリオド展~アートって、才能か?~』が、アートの街・天王洲にて開催されています。
“ブルーピリオド”とは、ピカソの画風に由来し、不安を抱える青春時代を表す言葉。
このマンガは、主人公たちが美術の道を志し、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語となっています。
こちらの展示は、作中に登場する絵画の展示や没入型シアターといった、藝大受験を志す主人公・矢口八虎とその仲間たちの物語を追体験できる展示から、名画解説などのアートを身近に感じることができる展示まで、さまざまな企画を通して『ブルーピリオド』の世界に迫ることができるというもの。
今回は、PASH!編集部がその様子をレポートしていきます。
※前情報なしで楽しみたい方はお気をつけください。
会場に入ると巨大なキービジュアルがお出迎え!
最初から度肝を抜かれるスケールの大きさ。美しい…
山口先生の手書きコメントも発見です。
また、来場者特典のポストカードと八虎の受験票が手渡されます。
え、八虎の受験票? どういうこと!?
アワアワしていると、スタッフさんが「展示を回っていくにつれて仕掛けが分かりますよ」と声を掛けてくださいました。
心が躍る仕掛けですね! 受験票を手に進んでいきます。
ちなみに、来場者特典のポストカードは、下書きやネームを使用したものが全14種類・ランダムで配布されるとのこと。ファンとしてはこちらも見逃せませんね。
ピカソの絵がわかんない
展示は、物語の始まりの巨大複製原画からスタートです。
“俺はピカソの絵の良さがわかんないから
それが一番スゴイとされる美術のことは理解できない
よくわかんない 俺でも描けそうじゃない?”
奥にはピカソの『泣く女』の展示が。
追体験ってそういうことか…!
粋な導入に、最初から鳥肌です。
美術と出会った日、青の渋谷シアター
次に現れたのは、八虎が美術をはじめるきっかけとなった森先輩の天使の絵。
八虎が経験したように、思わず目を奪われ、まるで飲み込まれそうになる感覚に。
そして、八虎が見た早朝の「青の渋谷」へ。
“眠い空気の中の 少し眩しいような
でも静かで渋谷じゃないみたいな
一日の始まりのような
これから眠りにつくような
青い世界”
八虎が見た世界が映像になって、大画面に映されます。
これがもう、圧巻で…!
本当に渋谷にダイブしたような感覚になります。
八虎役・峯田大夢さんと、森先輩役・青耶木まゆさんの透明感ある声もマッチして、まるで一本の映画を観終わった後のような感覚になりました。
描くのは好き、見るのは苦手
こちらは、八虎が橋田、世田介とともに美術館に行くワンシーンを体験できるコーナー。
名画のなかから好きな絵を見つける「買いつけごっこ」を楽しめるほか、
キャラクターたちと名画を鑑賞することで、自分なりの名画の楽しみ⽅を発⾒できます。
とりわけ、橋田の名画解説は圧巻です。マジで何でも知ってるな橋田…。
展示を観るだけではなく、体験することもできるのが嬉しいですね!
F100号への挑戦、あの人のブルーピリオド
八虎が描いたF100号の大作・『縁』の展示や、
現在活躍されている作家さんたちの原点(=ブルーピリオド)となる作品の展示が続きます。
ラディカルな作風で知られる会田 誠さんの木炭デッサンは、今回の展示が初公開です。
今の作風と全然違う!
『ブルーピリオド』ファンの方はもちろん、美術ファンの方にとってもたまらないのではないでしょうか。
キャラ大石膏室
続く展示は「キャラ大石膏室」。キャラクターたちの石膏がずらりと並びます。
それぞれダヴィデやブルータス、モリエールなどの著名な像をモチーフになっていて面白いです。
なぜそのキャラクターがその石膏をオマージュしているのか、解説もあるので、
ぜひゆっくりと見ていただきたいです!
なんと平日限定で、石膏を自由にデッサンし、描いた作品を持ち帰ったり展示することもできるのです。
筆者が取材した際にも、「ヨタータス(世田介×ブルータス)」の石膏デッサンをされている方の姿が!
ひとりで来ても、絵が好きな友人などと来ても楽しくなりそうです。
ブルーピリオドウォール
まだまだいきます。
続く「ブルーピリオドウォール」は、作中に登場する絵画を登場シーンとともに振り返るコーナー。
改めて、「この絵って実在してたんだ……」としみじみ。
なかでもグッと来たのは、八虎が絵を始めたばかりの頃の絵。
漫画で見るよりも、消しゴムをかけた形跡や指でぼかした跡などがハッキリと分かります。
八虎がどれだけ努力してきたか、実物を見ることで解像度が上がった感じがしました!
キャラクターパレット
『ブルーピリオド』に登場するキャラクターたちが、パレットに広がる絵具のように広がっています。
ユカちゃんを振った男子までいます!(笑)
どのキャラクターがどの色で表現されているのかで見てみるのも面白いかもしれません。
八虎は白。始まりの色とも言えますね。
1次試験「自画像」
いよいよ1次試験へ。ここでは、作中では明かされなかったキャラクターたちの自画像がズラリと並んでいます。
「自画像」は、画家自身が自分をどう解釈しているかを問う課題。
この展示によって、キャラの解釈もグッと深まりそうです。
筆者的に良かったのは岡本くんの自画像です。
良すぎる。
八虎の席の下には、バラバラに割れた鏡も!
ファンには嬉しい仕掛けです。
2次試験「ヌード」
続いての二次試験は、八虎と世田介の二次試験の作品の展示。
この作品で八虎は、キャンバスの地をあえて残したと述べていますが、実物を見るとその意味がより一層よくわかります。
スケッチも展示されていて、作品への没入感を高めてくれていました。
巨大複製原画
展示もいよいよ終盤…
ここで『ブルーピリオド』の名シーンの巨大複製原画が登場です。
まるで八虎の記憶を辿っているようで、ウルっときてしまいます。
そして、複製原画を抜けたその先には…
…この後はぜひ、展示会場でお楽しみください!
最後には山口先生の部屋も!
嬉しいことに、『ブルーピリオド』の生みの親・山口つばさ先生のコーナーもありました。
これまで先生が描いてきた漫画や絵(幼稚園の頃の作品まで!)の展示に加え、『ブルーピリオド』のカラー原稿や先生のお仕事机の再現も。
先生がこれまでどのような道を辿ってきたのかを知ることで、作品の見方も広がりそうです。
ブルーピリオド展は9月27日(火)まで東京・天王洲の寺田倉庫G1ビルにて開催中。
展示会場でしか購入できないオリジナル商品の販売や、会場近くのカフェではコラボレーションメニューの提供なども行われています。
元から『ブルーピリオド』ファンの方も、そうではない方も楽しめる、マンガ展を超えるとても素晴らしい展示になっておりましたので、
ぜひご自身の目で見て確かめていただきたいです!
開催概要
「ブルーピリオド展~アートって、才能か?~」
会期:~9月27日(火)
(前期:6月18日(土)~8月5日(金) 後期:8月6日(土)~9月27日(火))
時間:10:00~20:00 ※最終入場は閉館時間の30分前まで
会場:東京 天王洲 寺田倉庫G1ビル(東京都品川区東品川2丁目6−4)
主催:ブルーピリオド展製作委員会
(講談社、電通、TBS、凸版印刷、チケットぴあ、サニーサイドアップ、BS-TBS、電通LIVE)[WY1]
協賛:TikTok、寺田倉庫株式会社
後援:品川区
協力:ArtSticker、新宿美術学院、SCRAP
©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会
Source: PASH! PLUS