TVアニメが放送中の『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP』。PASH!9月号では、巻頭特集として幸村精市役・永井幸子さん＆真田弦一郎役・楠 大典さんの対談インタビューを掲載しています。本記事では、その一部を特別に掲載！
永井幸子さん＆楠 大典さん対談インタビュー
――第５話では、オーストラリア戦で幸村と真田がダブルスを組んで試合に出場しました。このオーダーを知ったときは、どんなお気持ちでしたか？
楠 初めて知ったのは本誌の連載中だったと思うんですけど、僕としては「幸村と組むことになるなら、もうこれは負けないな」って思いましたね（笑）。
永井 （笑）。日本代表選抜合宿のときの同士討ち戦で、ふたりの心の交流というか、新しい関係性みたいなものを見た気がしたんです。だから、あの試合を経たふたりのダブルスと考えると、 私はこの試合を通してまた真田と幸村の何かが深まるんじゃないかな？という期待を持っていました。
楠 あと試合が始まる前に、真田が『君が代』を口ずさむんですよ。そのシーンが原作で描かれたときから「いつ歌うんだ、本当に歌うのか、早く観てみたい」という声を沢山いただいて（笑）。そんなこともあって、この試合に寄せられる期待感みたいなものが自分のなかでもどんどんふくらんでいったように思います。
――実際にこの試合のアフレコに挑まれて、いかがでしたか？
楠 『君が代』に関しては完全に映像ありきだったので、「ここはこんな早くて、ここはこんなにゆっくり歌うの !?」っていう驚きがありました。本当はレコーディングスタジオでしっかり録れればよかったんですけど、試合の流れで録ったので僕としては不安もありつつ…かな。自分としてはもう少し淡々と静かに歌う予定だったけれど、気迫と気合いが感じられるようにしたいと言われたので、その調整が難しくて何回か歌わせてもらったんです。
永井 大典さんが歌い終わったとき、 私は思わず隣で拍手をしたくらいすごかったんですけど、ディレクターさんからＯＫが出ても大典さんは「もう１回！」って粘られて。だから私は一度ブースの外に出て、出番待ちをしている方々に「今、大典さん『君が代』中です」ってお伝えしたら、皆さん「おぉ～！」ってなってました（笑）。
――Ｕ－17Ｗ杯では、ドイツとの試合で幸村が徳川カズヤと能力共鳴を起こし、【第六感】を得ました。
永井 「最初に共鳴する相手は、真田じゃないんだ！」っていう驚きもありつつ、面白い展開でしたね。
楠 あれは、完全な浮気です！
永井 （笑）。でも徳川さんって言葉数は少ないけれど心に闘志を秘めていて、 なんとなく幸村と似た感じのする人なんです。そういう似た者同士だから起こせた現象なのかなと思いますし、幸村としては年上の徳川の包容力に自分の力を引き出してもらったような感覚を覚えていると思うんですね。あと、 リョーマに負けたあとの『新テニ』の幸村って、徐々に雄々しくなってきていて。全国大会３連覇とか関係なく、単純に強くなりたいという幸村のテニスプレイヤーとしての本来の姿が現れてきているので、そうした気持ちの変化とタイミングが合った【第六感】だったと思うんです。
――真田は、幸村の進化をどういう気持ちで見ていたと思われますか？
楠 複雑だと思いますよ。いくら自分が強いと思っていても高校生たちの実力は真田も分かっていますし、彼らをある程度認めなきゃならないとも思っ ているはずです。Ｗ杯では真田を含め、 誰もがいま、さらに上の強さを目指して何をするべきかを学んでいる最中なんですよ。だからこれまで以上の強さを獲得した幸村を見て、ライバルとしては闘志に火が付く部分もあるだろうけれど、永井さんが驚いたのと同じように、少なからず真田のなかにも「俺じゃないのか」という気持ちもあったんじゃないかな？
永井 第６話に真田と幸村が４歳のころの話が出てくるんですけど、そこで 幸村は真田をすごく叱りながら指導しているんです。微笑ましくて面白いシーンなんですけど、そうやって真田をリードしていた幸村が弱気になったときに彼を叱咤するのは真田なんですよ。真田が幸村に諦めずに頑張ることを教えてくれるすごくいいエピソードで、私はそこが幸村のいまの成長や自分を諦めない気持ちのスタート地点じゃないかなって思うんですね。【諦めない】という想いはこの先幸村の個性にもなっていく重要な部分なので やっぱり幸村の心のベースには真田という存在がある…。だから、浮気じゃないはず！（笑）
楠 まぁ、最終的には帰ってくるんですよね。本当の家に！（笑）
――幸村にとっての真田／真田にとっての幸村は、どんな存在だとお考えですか？
永井 幸村にとって真田は精神的支柱でもあるし、もう自分の一部のような感じなのかなと思います。真田がいるから立っていられるというか。幸村は部長ですけど、後輩を直接指導している姿よりも、どうしたら自分が強くなれるのかをずっと考えているイメージが強いんです。でも幸村がそうしてい られるのは、真田がいるから。真田がいなくなると、幸村のバランスは崩れてしまうような気がしますね。
楠 自分の一部というのは、真田も同じように感じているでしょうね。昔からの目標であり、ライバルであり、親友であり…。幸村は真田にとってテニスに関わるすべての象徴で、原動力。だから幸村に強くなってほしいと願うのだろうし、いつか必ず強い幸村に勝ちたいと思っている。真田には幸村が必要なんですよ、絶対。
――おふたりが演じることで引き出される、それぞれのキャラクターの魅力 について教えてください。
楠 幸村ってずっと最強でしたし、力強さと繊細さとしなやかさを兼ね備えた特別な存在じゃないですか。だから彼から真田みたいなゴツイ声が出ても嫌だし、すかした男のカッコイイ声も違うと思うんです。中性的でもあり【神の子】と呼ばれる、ある意味神聖さを秘めた人物でもあるので、永井さんの声はすごく合っていると思います。
永井 うわ～。恥ずかしい。でも、嬉しいです。大典さんが演じる真田は… 立海のキャラは時が経つにつれてどんどんキャストの特徴がキャラにも出てきているというか、似てきているような気がして（笑）。
楠 確かに、ゲームとかだと「真田、 僕寄りになってないか？」って思ったことは多々あるなぁ（笑）。
永井 そう！ 私もゲームのときに思ったんですよ（笑）。キャラクター性もキャストと似た部分が増えてきているなと感じています。そんななかで我らキャストの立海チームを支えているのは大典さんだし、大典さんの声なんですよね。みんなの安心感の土台的な存在。立海ファンの皆さんも、大典さんに全幅の信頼を寄せていると思います。あと、以前は堅物だった真田にギャグ的な要素が加わったり、最近ではずいぶん可愛らしい部分がクローズアップされるようになって（笑）、そういったシーンも大典さんが声を当てることで真田の魅力がどんどん増しているように感じますね。
Text＝犬飼かおり
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