平成30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成16年(2004年)のアニメを振り返ります。
この年は、いたずらの王様を目指すきつねのゾロリの旅を描いた『かいけつゾロリ』、高校生・黒崎一護が“死神”の力を宿し家族や友人のために戦う日々を描いた『BLEACH』、パンを称賛する実況の語彙が高い『焼きたてジャパン』、野球少年・吾郎がプロ野球選手という夢に向かって突き進む『MAJOR』などが放送されました。
今回は、数ある平成16年に放送されたTVアニメのうち4作をご紹介します!
“バトルヒロイン”の新しい姿を確立した『ふたりはプリキュア』
『ふたりはプリキュア』は、2004年に放送をスタートした『プリキュア』シリーズの第1作目です。今年15周年を迎え、本作のヒロイン・なぎさ&ほのかをメインに据えた“プリキュアプリティストア”がオープン、各種コラボが行われるなどアニバーサリー展開が行われています。
先日、友達の子供の付き添いで“プリキュアプリティストア”に行ったのですが、懐かしのアイテムや今だからこそほしいアイテムの数々に友達の子供以上に楽しんでしまいました。大人の女の子(男の子も)一度は行ってほしい。『プリキュア』を知っている人だったら予想以上にテンション上がります。
本作は、中学2年生の美墨なぎさと雪城ほのかが、ある日妖精たちにより伝説の戦士“プリキュア”に変身する力を与えられ、キュアブラック&キュアホワイトとして活躍する姿を描いたもの。いわゆる“美少女ヒロイン”作品なのですが、『セーラームーン』のように炎や風といった自然のパワーを駆使するでもなく、『カードキャプターさくら』のように魔力を用いるでもなく、“ゴリゴリの肉弾戦”で戦うというこれまでにない戦闘スタイルを披露し話題になりました。
放送当時は「プリキュア強い~」と、戦闘スタイルをありのまま受け止めていたのですが、今思えば拳で殴る、蹴り技で敵を吹き飛ばす美少女ヒロインっていなかったんですね。『プリキュア』って強い。
また、本作は『セーラームーン』でいう“タキシード仮面”のような、ヒロインのピンチに駆けつける“イケメン助っ人キャラ”が登場しないのもポイント。どんなピンチに陥ったとしても、なぎさ&ほのかが自力で切り抜ける姿は、多くの女の子に勇気を与えてくれたような気がします。
正義感の強い“新米魔王”の成長を描いた『今日から(マ)王!』
『今日から(マ)王!』(まるマ)は、2004年から2009年までの期間、NHK教育テレビで放送された異世界ファンタジーアニメ作品。
本作の主人公・渋谷有利は、不良に絡まれていた同級生を助けようとして、あやまって講習トイレの便器に顔を突っ込まれてしまう。そこから異世界へと流され、のちの有利の教育係となる銀髪美人・フォンクライスト卿ギュンターと対面。特別な魂を持つ人間であることが明かされ、“眞魔国”の王様=“魔王”として人間と戦わなければならないことを告げられます。突然“魔王”になることを告げられ戸惑う有利でしたが、持ち前の正義感と柔軟な思考力で“新米魔王”として成長していきます。
“新米魔王”として成長するなかで、様々な事件に見舞われる有利ですが、周りの人々を巻き込みながらも“自分のなかの正しさ”を自問自答しつつ成長していきます。負けん気と正義感が強い有利は、常に“正義とは何か?”を問うており、ふいに発する言葉に込められた思いに胸を打たれることも……。個人的には、敵をかばった有利が発した「愛は与えただけ自分にも返ってくるんだ」というセリフが好きでした。知らない世界で、突然魔王になることを宣告され、それでも自分の気持ちに正直に生きる有利らしさが感じられる一言です。こんな優しい魔王がいる国なら頑張って税金納める。
本作には“ありとあらゆるイケメン(美形)”が登場します。責任感が強く家族。部下思いのコンラート(CV.森川智之)、わがままだけど男らしい一面もある金髪美少年・ヴォルフラム(CV.斎賀みつき)、皮肉屋&強面だけど小さくて可愛いものが好きなグゥエンダル(CV.大塚明夫)、苦労人気質な銀髪美人・ギュンター(CV.井上和彦)……有利の周囲の人間だけでもこれだけのイケメン(美形)が登場します(しかも演じる声優も名だたる方ばかり)。ジャンルが異なるイケメン(美形)ばかりなのできっと気になるキャラクターが人は見つかるはず! もちろん、彼らは見た目だけでなくそのキャラクター性も魅力的。時に格好良く、時に笑えて、時に泣ける姿を楽しむことができますよ。
ケロロ軍曹の地球侵略と家事とガンプラ作りの日々を描いた『ケロロ軍曹』
『ケロロ軍曹』は、2004年から2011年までテレビ東京で放送されたギャグ&SFアニメです。
地球(ペコポン)に侵略することを目的に“ケロン星”から軍隊が派遣。その先発隊として訪れたのは、隊長・ケロロ軍曹、突撃兵・タママ二等兵、機動歩兵・ギロロ伍長、作戦通信早ん坊・クルル曹長、暗殺兵・ゼロロ兵長の5名からなる“ケロロ小隊”。ケロン星では知らぬ人がいないほど有名なケロロ小隊。そんな彼らに侵略される地球(ペコポン)は窮地に陥る……かと思いきや、ケロロ小隊は地球(ペコポン)に降り立つ際に散り散りになってしまいます。そして、日向夏美&冬樹兄弟にあっさり捕獲されてしまったケロロ軍曹は、日向家の居候となり家の掃除をさせられたり、趣味のガンプラ作りに勤しむ日々を送ることなります。
日向家の居候として家事や趣味に没頭するケロロ。散り散りになったケロロ小隊のメンバーと合流し、再び地球侵略に関する作戦を実行しようとするも、日向兄弟や周囲の人々(もしくは自分たちの自滅の形で)作戦は次々と失敗する……というのは毎回のお約束。時には『エヴァンゲリオン』や『ガンダム』のパロディーが取り入れられるここともありました。そんなケロロたちと人間の攻防や日常に癒されつつも笑うのが土曜の朝の定番でした。
『ケロロ軍曹』を見たことがない人でも、本作のOP主題歌『ケロッ!とマーチ』を一度は聴いたことがあるのではないでしょうか? 「家から5分は実は15分」、「傘もって出かけた日にはいつも晴れ」など独創的&あるあるな歌詞は今も思い出に残っています。そして、「家から5分は実は15分」は賃貸を借りる際に入念にチェックするのに役立っています。
儚くも美しい“アンティークドール”の闘い。耽美な世界を描いた『ローゼンメイデン』
『ローゼンメイデン』は、2004年から2006年までアニメ化された“アンティークドール”たちの闘いを描いたバトルファンタジー作品です。
「まきますか・まきませんか」と記載された謎のDMを手にした引きこもりの中学生・桜田ジュン。軽い気持ちで「まく」ことを選んだジュンのもとに、まるで生きているかのように精巧なアンティークドールが届く。ジュンは、興味半分でアンティークドールの螺子を“巻く”と、目覚めたアンティークドールは“ローゼンメイデン第5ドール・深紅”と名乗り、自分と契約するように求める。突然動き出した人形に戸惑うジュンでしたが、とある出来事から深紅と契約。やがて“アリスゲーム”と呼ばれるローゼンメイデン同士のバトルロイヤルに巻き込まれることになります。
本作は、“ローゼンメイデン”と呼ばれる美しいアンティークドール、アンティークドール同士の美しくも儚い闘い、ローゼンメイデンが抱える思いが繊細に、美しく描かれています。ローゼンメイデンたちは究極の少女・アリスになることを切望しており、そのために過酷な戦いへ身を落としていきます。
ローゼンメイデンたちは魂を持つ不思議な存在ではありますが、闘いの中で傷つくことや、ボディが破壊されることもあります。そして、“完璧”を目指すローゼンメイデンにとって壊れること“ジャンク”は最大の侮辱。完璧になろうと戦うのに、戦うなかで完璧でなくなってしまうこともある……そんな瀬戸際で戦うローゼンメイデンたちの闘いは、ほかにはない美しさが感じられます。
また、『ローゼンメイデン』の主題歌は、そのほとんどを“ALI PROJECT(アリプロ)”が担当しています。本作と出会ってアリプロを知った方も多いのではないでしょうか? 『禁じられた遊び』、『聖少女領域』、『薔薇獄乙女』……耽美なアリプロの世界は『ローゼンメイデン』と優雅に絡み合い、双方の魅力を高めてました。個人的には『ローゼンメイデン』楽曲が収録されたアルバム『薔薇架刑』の『君がため、惜しからざりし命さへ』が好きでした。
平成16年の日本はどうだった?
ちなみに平成16年の日本では、NHKで放送された『冬のソナタ』をきっかけに韓流ブームが起きました。また、アテネオリンピックで水泳の北島康介、柔道の野村忠宏、同じく柔道の谷亮子など日本が数多くのメダルを獲得。北島康介の「チョー気持ちい」は流行語大賞に輝くなど、オリンピックで盛り上がった年でした。さらに、年末には任天堂が“ニンテンドーDS”、ソニーが“PSP”を発売したのもこの年の出来事です。
次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!
Source: PASH! PLUS