“DT”アニメ覚えてる? 『キルミーベイベー』、『妖狐×僕SS』など平成のアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』第24回

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 平成30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成24年(2012年)のアニメを振り返ります。

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 この年は、殺し屋の少女とその友人のバイオレンス&コメディな日常描いた『キルミーベイベー』、これを見たら一度は“ミスディレクション”にチャレンジするよね『黒子のバスケ』、「ニャルラトホテプです」「\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!」など名セリフが誕生した『這いよれ! ニャル子さん』、江の島を舞台に描かれるSF(青春フィッシング)作品『つり球』などが登場。

 また、主人公・キリトが強すぎて痺れる『ソードアート・オンライン』、中二病な六花も恋をする六花も可愛い『中二病でも恋がしたい!』、戦車ブーム&大洗ブームを起こした『ガールズ&パンツァー』、一世紀以上にわたるディオとジョースター家の因縁の物語『ジョジョの奇妙な冒険』、中学生女子たちの熱いアイドル活動が描かれた『アイカツ!』、初音ミクの同名楽曲がスタイリッシュにアニメ化された『ブラック★ロックシューター』、しろくまさんやパンダさんのカフェでのゆる~い日常が描かれた『しろくまカフェ』などが放送されました。

 今回は、数ある平成24年に放送されたTVアニメのうち3作をご紹介します!

EDが毎回楽しみだった!“先祖帰り”の青少年たちの日常を描いた『妖狐×僕SS』

 『妖狐×僕SS』は、亡き藤原ここあさんによる同名漫画を原作とするTVアニメ。“妖怪の先祖返り”である少年少女が住む“メゾン・ド・章樫(妖館)”での出来事が描かれた作品です。

 本作は、旧家・白鬼院の御令嬢として生まれた“白鬼院凜々蝶”が主人公。凜々蝶は、大人に守ってもらっていること、家名が重視されることに息苦しさを感じ、家を出てマンション“メゾン・ド・章樫(妖館)”で一人暮らしをすることに。“メゾン・ド・章樫(妖館)”は、表向きは厳選された者しか住めない高級マンションとして知られていますが、その正体は“妖怪の先祖帰り”が住むマンションでした。

 “妖怪の先祖帰り”とは、妖怪の血を受け継ぐ者のこと。“妖館”には、九尾の妖狐の先祖帰り・御狐神双熾や一反木綿の先祖返り・反ノ塚連勝、雪女の先祖返り・雪小路野ばら、鬼の先祖返り・青鬼院蜻蛉、がしゃどくろの先祖返り・髏々宮カルタ、豆狸の先祖返り・渡狸卍里、百目の先祖返り・夏目残夏らが居住。

 先祖帰りは、純潔の妖怪に狙われやすいため、“妖館”に住む先祖帰りには、一世につき一人のSS(シークレットサービス)がつきあ互いに身を守りあうシステムになっています。凜々蝶には双熾、反ノ塚には野ばら、蜻蛉にはカルタ、卍里には残夏がSSとしてついています。

 ちなみに、本作のタイトルにある「妖狐」は「ようこ」ではなく「いぬ」と読みます。その理由は、第1話にて凜々蝶と対面した双熾(妖狐)が、「どうか僕を貴女のしもべに、いえ犬にして下さい…!」と言い放ったことに起因しているのではないかと。このセリフはPVやCMでよく使用されていたのですが、初めて聞いた人は結構びっくりしたんじゃないでしょうか。しかも、熾双はかなりの美少年なので余計に(そこがいいんですけどね)。

 『いぬぼく』は、EDがキャラクターソングであったことも思い出深いです。熾双の爽やかな歌声が響いた『楽園のPhotograph』、凜々蝶の清んだ歌声とモノクロの映像がマッチしていた『君は』、残夏の主張が激しめの歌声×卍里の合いの手が印象的な『one way』、地上波放送できる歌なのか!?

 蜻蛉の『SM判定フォーラム』、カルタのほわほわした歌声に癒された『sweets parade』、反ノ塚の低音×野ばらの高音のハーモニーが美しすぎた『太陽と月』などそれぞれの個性あふれるEDが放送されていました。筆者的にはMUCCのOP『ニルヴァーナ』も思い出深い。アッパーかつ哀愁漂うエレクトロサウンドに第1話からぐっと心捕まれました。あの時の感覚は今でも覚えていたいなぁ。

“理想的な人生”は果たして体現可能なのか? 社会の暗部が緻密に描かれた『PSYCHO-PASS サイコパス』

 『PSYCHO-PASS サイコパス』は、Production I.G制作によるオリジナルアニメ。2012年に第1期、2014年に新編集、同年2014年に第2期が放送され、2015年には劇場版が公開されました。そして、2019年1月からは“SS(sinners of the system)”と題された三部作が公開予定。もうすぐだ~楽しみですね。

 本作は、ドラマ『踊る大捜査線』の本広克行さんが総監督、『家庭教師ヒットマンREBORN!』の天野 明さんがキャラクター原案、『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵 玄さんがストーリー原案を担当。2012年に放送された第1期では、集団心理や犯罪心理、人間の心の脆さなど“人間の精神性”に焦点を当てて描かれています。

 緻密に組み立てられたストーリー、未来的ガジェットの登場、これから来るかもしれない社会体制、都市に蔓延る暗雲、人により形を変える“正義”……濃密に構築された世界観に毎週「うーん難しい(でも面白い)」とうなっていました。

 総監督をドラマ出身の本広克行さんが手掛けていることもあり、“アニメだけれどドラマらしい”展開も多かったように思います。本作では、人間の心理状態や性格を計測・数値化する“シュビラシステム(シュビラ)”が導入された日本が舞台。

 犯罪を起こし“犯罪係数”が規定に達した者、またはたとえ罪を犯していなくとも規定値を超えた“潜在犯”は裁かれるシステムとなっており、目に見える数値で“監視された社会”で“理想的な人生”を送るための社会が構築されていました。そんな社会においても犯罪は発生。

 死体を薬剤で加工し公衆に晒す“標本事件”や若い女性がターゲットになった“桜霜学園女生徒連続殺人事件”など猟奇事件が発生するのですが、この事件の手口・描写が“ドラマ風”であったような気がします。これまでのアニメに決してこうした描写がなかったわけではないのですが、より“人間味”が感じられる内容になっていたような気がします(事件に人間味という言葉が正しいかは別として)。 

 こうした事件の背景には犯人が存在し、それを取り締まる治安組織(監視官)が存在する。本作の醍醐味は、この犯人と監視官との“知恵比べ”にあります。追う者、追われる者。どちらの心情も描写されており、さらにはシュビラにより明確に数値化もされる。

 気づけば追っていたものが追われる者になりかねない、化け物を狩る者が化け物と化してしまう可能性を秘めている……このリアリティーがたまらないんですよねぇ。さらには、どれだけ罪を犯してもシュビラに判定されない“免罪体質”と呼ばれるものが登場したり。”理想的な人生”は簡単には構築できないこと、どんな世の中でも”犯罪者が生まれてしまう”シビアな現実も描かれています。

 物語は複雑かつ緻密に組み立てられている本作。2019年の劇場公開を前に、TVアニメシリーズを振り返ることをおすすめ。年末年始にどうでしょうか?

“DT”アニメ覚えてる? 下ネタ・パロディなんでもありの『イクシオン サーガ DT』

 『イクシオン サーガ DT』は、カプコンのオンラインゲーム『イクシオン サーガ』を原作とするTVアニメ。とはいえ監督は『銀魂』を手掛けた高松信司さんが担当してり、下ネタ・パロディのオンパレードのギャグ作品であり、視聴者のなかで「なんだこの作品は!?」と話題に。ちなみにDTは“Dimension Transfer”の略称。時空を超えてきた者を意味しています(それだけかどうかは調べてね!)。

 本作は、現代から“ミラ”と呼ばれる異世界に飛ばされた火風 紺(彼女いない歴=年齢)が主人公。紺は突如として飛ばされた異世界で、婚礼のために都を目指す“エカルラート姫”と、姫の婚礼を阻もうとする“エレクパイル・デュカキス”の姿を見つける。姫を助けようとした紺は、エレクパイルの◯◯たまを潰してしまう……。絶体絶命だった“エカルラート姫”とその一行を助けた紺は(なりゆきで)姫の騎士となり、一行と行動を共にすることに。

 一見すると王道ファンタジー作品のようですが、そこは高松監督が手掛ける作品。ただの冒険で終わりません。道中では個性が豊かすぎるキャラクターが次々と一行の行方を阻み、下ネタを繰り出し、パロディを繰り広げます。さらには、“DT(Dimension Transfer)”の紺と、紺に◯◯たまを潰されたエレクパイル・デュカキス…略して“ED”の因縁の戦いも見どころ。

 もう何を書いてるんだお前って感じなのですが、『イクシオンサーガDT』をそのまま書き記せばこうもなりますよ。これを主演の江口拓也さんをはじめ、神谷浩史さん、中井和哉さん、福山 潤さん、梶 裕貴さん、杉田智和さん、鈴村健一さんといった面々が演じているのもすごいですよね。振りきりすぎてる演技に絶対笑う。

 また、本作のOP&ED主題歌では、ゴールデンボンバーと『イクシオン サーガ DT』がコラボ。OPタイトルは『DT捨テル』(原曲『元カレ殺ス』/ゴールデンボンバー)、EDタイトルは『レッツゴーED』(原曲『レッツゴーKY』/ゴールデンボンバー)。タイトルだけでなんかもう濃いな! という感じなのですが、アニメで実際に流れるともうただただ笑ってしまう。

 タイトル&歌詞こそドエライ感じなのですが、メロディーがよくていい曲なのがこれまたにくいんですよねぇ。このほか特別エンディングにて『DT音頭』、『○○たま』、『Stand Up! ED』といった楽曲が流れることも。これは酷いとはこのこと。

 平成アニメのなかでも振り切りに特化している『イクシオン サーガ DT』。気になったらまず見てみて! 絶対笑う。

平成24年の日本はどうだった?

 ちなみに平成24年の日本では、日本を含む北太平洋で173年ぶりに金環日食が観測されました。筆者は見逃してしまい残念に思ったことを覚えています。次回、日本で金環日食が観測されるのは2030年6月1日。北海道のほとんどの地域で観測することができるそうです。あと12年後か……! 健康に気を付けよう。

 また、東京スカイツリー&東京ソラマチがオープンしたのもこの年の出来事。同年の新語・流行語大賞トップテンに選出されるなど、多くの人々の注目を集めました。最近の出来事だと思ってたのにもう6年も前のことなんですねぇ。

 次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!

 

Source: PASH! PLUS

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