カバーは、男性VTuberグループ「ホロスターズ」所属タレントが出演するライブイベント《HOLOSTARS 5th Anniversary Live -Movin’ On!-》のオフィシャルレポートを公開しました。
本ライブは、花咲みやび、奏手イヅル、アルランディス、律可、アステル・レダ、岸堂天真、夕刻ロベル、影山シエン、荒咬オウガ、夜十神封魔、羽継烏有、緋崎ガンマ、水無世燐央が出演するホロスタ5周年ライブ。
現在SPWNではアーカイブ視聴チケットも販売中。期限まで何度でも見放題となっています。
「HOLOSTARS 5th Anniversary Live -Movin’ On!-」ライブレポート
2024年6月8日、男性VTuberグループ・ホロスターズが、5周年を記念したライブ「HOLOSTARS 5th Anniversary Live -Movin’ On!-」を開催した。ホロスターズは2021年、2022年に全体ライブを行っており、1年半が経った今回、満を持しての開催となった。会場は豊洲PIT。奇しくも、先輩グループにあたるホロライブが、2020年に初めて全体ライブを行った場所でもある。
2022年にデビューした4人組ユニット「UPROAR!!」と初めて一緒に行う動員ライブであり、観客による声出しも初めての経験。定刻が近づくと、HOLOSTARSのセンター・花咲みやびとUPROAR!!のリーダー・夜十神封魔による影ナレが読み上げられる。場慣れしたみやびと、対して少し緊張のまじった封魔のほほえましい先輩後輩感に、会場の空気が少しほころんだのを感じた。
期待が最高潮に膨らむなか、開演直前には、13人による円陣の声が聞こえた。スピーカーも通さない、正真正銘の肉声だ。その声は会場の客席にもしっかり聞こえており、思わぬサプライズに歓声が上がったことは言うまでもない。
「Just Follow Stars」のインストを用いたオープニング映像でカウントダウン。白をベースにそれぞれのメンバーカラーをあしらったライブコスチューム「Starry衣装」に身を包んだ13名が華やかに登場すると、発表されたばかりの新全体曲「カレイドパレード」で幕を開けた。
M1「カレイドパレード」
ハスキーからハイトーンまでカラフルな男性合唱が響きわたり、各メンバーカラーのビッグリボンが色鮮やかにきらめく様子はまさしく万華鏡。時折混ざるホロスタ民のコールには、声出しできなかった前回・前々回のライブへの思いもこもっている。三度目のライブにしてようやく声援を浴びる彼らの姿を見られて、はやくも万感胸に迫った。
興奮覚めやらぬ空気のまま、定番の自己紹介ソング「We are the HOLOSTARS & UPROAR!!」へ。もともとは9人歌唱の「We are the HOLOSTARS!!」として発表された同曲だが、昨年末のカウントダウンライブでUPROAR!!の4人を迎えた13人ver.がサプライズ披露されたことは記憶に新しい。ソロパートでは他12人のメンバーが思い思いの動きをしているのに、サビに入ると息ぴったりの腕振りダンスに切り替わる。決める所はしっかり決める彼らの姿に、会場の熱気も高まる。
ここで、今日最初のMC。みやびのつっこみ所満載な進行に、騒ぎたがりのメンバーたちが我慢できるはずもなく……9人でも収拾がついていなかったMCは、13人になってさらにワチャワチャ感がアップ。時々脱線を挟みながらも、それぞれ元気に挨拶、そしてUPROAR!!による意気込み発表を終えた。
「Movin’ On!」の声出し(予定外のやり直し含む)を終え、続く幕間ムービーでは、それぞれの初配信の映像が次々と流れていった。ホロスターズの歴史を感じエモーショナルな心持ちになった所で、デビュー順で言うと最も末っ子の幽霊・水無世燐央が登場。ソロパート1人目という大役を背負い、燐火のような青のペンライトを浴びながら、緩急あるダンスで「Come Over」を披露する。持前の高音域を響かせ、指差しやウインクでファンを沸かせる姿は、彼が憧れたアイドルそのものだった。
しっとりとした空気は一転し、ミラーボールがきらめくステージにハイパーパリピ漫画家・緋崎ガンマが堂々登場。イントロからいきなり「こっからさらに盛り上げていくぞー!」と煽り、連続ジャンプでダイナミックなステージング。「ハイパーパリピラプソディ」は随所のコーレスに中毒性のあるサビと、終始テンションぶち上げのライブ向けナンバーだ。緊張しいな一面もあるガンマだが、今日はそんな要素を一切感じさせず、最後には両手をピストルのようにしてファンの心を撃ち抜いた。
このままUPROAR!!メンバーが続くかと思いきや、2期生の夕刻ロベルが登場し、流れ出すのは「POP-TALK」のイントロ。「おしゃべりモンスター」と称される通り普段は軽妙な雑談配信が人気のロベルだが、ライブでは甘い歌声で誰よりもアイドルになる。終始満面の笑顔で振り付けをこなし、「みんなの声聞かせてやー!」と声出しをリードしてみせた。
暗転したまま、リボンを緑に光らせ不敵にクラップを要求するのはチャキチャキのイタリア人・アルランディスだ。コーレスが楽しい人気曲「W.I.M.」を、満を持して声出しありで披露。ファミリアランは両手のペンライトで三角形をつくり、全力の「アランさんカッケー!」を贈る。筋トレ仕込みの圧倒的な肺活量による目まぐるしいラップ詞、そしてライブならではの重低音が体にビリビリくる感覚が気持ち良い。
M6「W.I.M.」
続くMCを担当するのは、盛り上げ上手な2期生メンバー・SunTempo。同期にも関わらず年に1回コラボするかしないかの3人の、貴重な共演である。漫談のようなトークに会場も笑いっぱなしだったが、今日はせっかくの声出しありということで、順番にコーレスも楽しむことに。座らせたり立たせたりのフリーダムな進行もご愛嬌だ。
「Movin’ On!」のコールを合図に暗転。「さーてお前たち、任務開始だ!」と叫び、「BEGINNING」の荒々しいイントロとともに登場したのは3期生の獣人・影山シエンだ。声の良さはもちろん、ここぞというときの勝負強さに定評のあるシエンは、爪を立てる振り付けでファンの心を焼き付ける。間奏では「枯れるまで声を、お前らの魂を全力でぶつけてこい!いくぞ!」と声出しを煽り、ラスサビのボーカルラインにアレンジが乗ると、たまらず歓声が上がった。
ポップな歌い出しで怪盗・羽継烏有が披露したのは、もちろん「メンヘラ▼パニック!」だ。タイトルのインパクトからか、本人がいない場面でも何かと言及されがちなこの曲。白とピンクのライティングがゆめかわな世界観を演出し、キュートな振り付けと重めの歌詞を際立たせる。烏有自身は歌唱もダンスもしなやかで、クラップとファンサをまじえながら、初めて立つ豊洲PITを見事に自分のものにしていた。
「いったん俺とチルしようか」という低音ボイスが会場に染み渡り、心優しき魔人・荒咬オウガのバラード「Silent Night Requiem」が始まる。ステージパフォーマンスにおいて、振り付けが少ない演目を魅せるのは、独特の難しさがある。オウガは回を増すごとに着実に成長している歌と、両手の繊細な動きに歌詞の思いをこめ、会場を包み込んだ。
続いて妖の万屋・夜十神封魔は、ラップや英語詞もある「about you」をパフォーマンスする。後輩気質で愛され屋な封魔が、この日はキレのあるダンスと吐息まじりの歌でセクシーに会場を魅了。ハートをなぞる振り付けでの<I’m crazy about you>は破壊力抜群だった。
リーダーからつなぐ形で、そのままUPROAR!!が全員集合。配信では何度かパフォーマンスしてきた、ユニット最初のオリ曲「Prologue」が目の前で展開され、4色に染まったペンライトも一緒に走り出す。<同じ夢を抱きしめたなら>で4人が集まるのはいつものこと。でも、この日はその意味が違う。「先輩と一緒にライブをする」、その夢がかなった瞬間を抱きしめるからこそ、歌にも手にも力がこもるのだ。
M11「Prologue」
次のMCはもちろん、UPROAR!!の4人が担当。初めての動員ライブ、そして声出しに跳ね回って喜ぶ初々しさに、思わず観客も笑顔になる。それぞれにソロ演目の感想を述べ、燐央のリクエストでウェーブまでちゃっかり楽しむと、続く先輩たちへバトンをつないだ。
シルエットが見えたかと思えば、ホロスターズ1~3期生が登場。全員横並びで、前回のライブでも披露した「Find It」を歌唱する。動きの角度や速さに至るまで9人ぴったりそろったダンスは圧巻で、これまで積み上げてきた努力と信頼関係の尊さを強く感じさせられた。落ちサビ前、一瞬の暗転の中9色のリボンの輝きに目を奪われ、イヅル・律可のハーモニーがリードするラスサビのユニゾンに心を奪われた。
M12「Find It」
和風のイントロで、アステル・レダのお祭りソング「和ぁるD宴ど☆フェスティバル」が始まる。歌唱もさることながら、彼の生ダンスはホロスターズのライブの見所のひとつと言って差し支えないだろう。自らハードルを上げ、そしてそれをしっかり超えてくるのがアステル・レダという男。「もっと全身全霊で狂って行こうぜ!」と力強く煽り、間奏のダンスパートでは目まぐるしい圧巻のパフォーマンスで観客の視線を釘付けにした。
自信に満ちた表情で現れ「お前たち!ライブ中盤で疲れちゃってんじゃねーのか!声出せ!」と煽ったのは岸堂天真だ。さわやかな楽曲「キシ!快晴!」の<KISHI! hey! KISHI! hey! KISHI! hey!>コールに合わせて力強い正拳突きを連発。最後には頼もしい背中を指差し、岸メンを惚れ直させた。
歌や作詞曲を中心に活動しつつ、最近ではVtuber歌唱王やVスト6律可杯を主催するなど企画屋としても活躍しているホロロイド・律可。歌唱面でもともと高いスキルを持っていたが、今回の「afterwards」では特にダンス面の成長で驚かされた。重心低めのダンスとセクシーな表情で、艶のあるパフォーマンスを見せるようになっていた。
再びオウガのソロステージだ。直近のデビュー4周年記念でリリースした「Faker Faker」は、「Silent Night Requiem」とは180度雰囲気の違うアップナンバー。複雑な振り付けを全身で表現しつつ、切れ長の目で「お前ら!熱をもっと俺によこせ!」と叫ぶ姿は迫力もすさまじい。
暗転中、メンバーカラーリボンが重なって見えたことに一瞬どよめけば、一列に並んだunplanが登場。みやび、アルランディス、律可、シエンの4人が属する、昨年結成されたセルフプロデュースのユニットだ。大食い企画や世界記録チャレンジなど体当たり系の活動も多い彼らだが、今日はオリジナル曲「superior stars」でクールな魅力を存分に発揮した。
M17「superior stars」
シエンはそのままステージに残り、3期生メンバー・魔フィアでMCパートを担当。歓声を浴びて跳ね回ったり、観客と「愛してる」のコーレスをするはずが二人の世界に入ってしまったりとやりたい放題。ペンライトの切り替えを活かしたミニゲームも楽しんだ。
今回のライブ直前、イヅルとアステルによる新ユニット名「Bratt」が発表されていた。かねてより互いに演者としてのリスペクトを明かしており、そんな二人が今日は並んで同じ方を向いて立つ。シャッターにスプレーで落書きする面白い演出を見せたかと思えば、骨太のダンスナンバー「DA DA DA」で息ぴったりのパフォーマンス。「悪ガキ」の意味を持つユニット名にふさわしい、治安の悪いステージングで沸かせた。
M18「DA DA DA」
外はすっかり夜になる頃だろうが、豊洲PITには再び夕焼け空が広がる。ロベルのソロ2曲目、「夕暮れは踊る」だ。こちらも手をくるくる回したりぴょんぴょん飛び跳ねたりと、ポップな振り付けが楽しいステージング。<沈む 直前の 眩しさが続け>という歌に、終幕の近づく今この瞬間だけの多幸感と、一抹の寂しさが瞬いた。
ギターの弾き語りを主な活動スタイルとする奏手イヅルは、自身が作詞作曲した「ライカを追って」を動員ライブ初披露。随所に散りばめられたゲームSEのようなサウンドに、甘くてどこか切ない歌詞をのせていく。手を頭につけてウインクをするあざとかわいい仕草には、事件性のある悲鳴が上がった。
みやび・天真によるユニット・花岸は、期待していた人も多かったであろう「チグハグ⇔フローリィナイト」を披露。一見バラバラのフレーズを2人が歌うことでハーモニーが完成する、不思議な楽曲だ。Cメロでは同じではないポーズを、けれど息ぴったりに決めると、腕をぶつけ合いラスサビへ。歌い終わりには、今度は同じポーズで締めくくった。
M21「チグハグ⇔フローリィナイト」
本編最後のMCを担当するのは、1期生の4人。歌い終わりにも関わらず疲れを引きずっていないみやびに成長を感じつつ、安定感のあるトークで進行。そして、この日はみやびのデビュー5周年の日でもある。同期が順番に祝辞と感謝を述べ、ライブは終盤へ。
ソロパートの最後を飾るのは、花咲みやびの「ワンス・アポン・ア・ワールド」。ミュージカル風の楽曲に合わせて背景の絵本が目まぐるしく変化し、まるで物語の中の世界に招かれたかのような錯覚を覚える。やがてみやびの魔法に合わせて美しい花が咲き、結末には大団円の花火が上がった。誰かの心を動かすこと。背中を押すこと。それがアイドルだとしたら、みやびはこだわりのつまったステージでそれを成し遂げた。
M22「ワンス・アポン・ア・ワールド」
再び13名がそろい、もうひとつの新全体曲「夕星と帰り道」を歌い上げる。ホロスターズの全体曲として、しっとりとしたバラードは初めての試みだった。当たり前のようだけれど、みんなで繋ぎとめ合って積み重ねた1日1日が、やがて5年という節目に至ったこと。改めてその奇跡を実感するとともに、今回のライブの大切なテーマである“ありがとう”の気持ちが、美しいユニゾンから痛いくらいに伝わってきた。
メンバーがはけた後、観客はすぐにアンコールを要求。思えば、声を出してアンコールを求められるのも今回が初めてのことだ。ほどなくして、ジャケットを脱ぎライブTシャツ姿になったホロスターズが再登場した。
みやびの音頭で今日最後の「Movin’ On!」を叫ぶと、最後の曲「Just Follow Stars」へ。UPROAR!!の歌唱と観客の声を迎えてパワーアップした、HOLOSTARS最初の全体曲。間奏では、誰が煽るでもなく「はい!はい!」という歓声が自然発生し、一体感に包まれていく。ラストには「We areホロスターズ!」の掛け声で銀テープが舞い、大歓声の中ライブは閉幕した。
EN「Just Follow Stars」
アンコールでメンバーたちが再登場したとき、みやびがメンバーに対する感謝を語り始めると、一部メンバーから男泣きが伝染した。デビュー逆順に一人ずつライブの感想を述べていくなか、目元を抑えるメンバー、それを支えようとハグをするメンバー。そうした様子を見て、こらえきれなくなったホロスタ民たちの姿もあった。
もちろん涙の有無が感動の尺度を表すわけではないが、1stACT、2ndACTのときにはなかったメンバーたちの涙が、3回目で流れたこと。その意味は、平坦ではない道のりを歩んできたHOLOSTARS9名や、そんな先輩たちへの憧れを胸にホロスターズの門を叩いたUPROAR!!の4名、そして彼らを見守ってきたホロスタ民たちの胸に、大切にしまわれることになるだろう。今日受け取った“ありがとう”の気持ちと、忘れられない輝きたちとともに。
取材・文/ヒガキユウカ
写真/中村ユタカ
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