筆者は小学生の頃、よく手塚治虫先生の作品を読んでいました。きっかけは、叔父の趣味。書棚にびっしりと手塚治虫全集なる作品が並んでおり、誰に勧めらたわけでもなく好奇心で読みだしたのですが、どっぷりとハマってしまい、端から端まで読み尽くしました。
中でも印象深いのが『ブラック・ジャック』。医療を題材にしていて少し難しい内容なのですが、スト-リ-自体はシンプルで、子どもでも理解できる構成となっていました。
大人になって改めて作品を見返しても、やはり面白い! 生命の大切さをブラック・ジャックが説くシ-ンは本当に感動します……。
……しかし「治療費は5千万円だが、払えるかね?」などと患者さんにたたみ掛けるシーンも。これは『ブラック・ジャック』ではお決まりですね。
ふと「ブラック・ジャックは総額でどれ位の金額を患者に請求したのか?」と気になった筆者。今回は、作品を見返してブラック・ジャックが患者に請求した金額をカウントしていこうと思います。
『ブラック・ジャック』とはどんな作品なのか?
「週刊少年チャンピオン」(秋田書店刊)にて、1973年11月発売号から1978年9月発売月号まで連載。全242話、その後1983年10月発売号まで不定期連載され、単行本は全25巻が刊行されました。
アニメは、1993年のOVAから始まり。地上波TVではよみうりテレビ系列で2004年10月11日から2006年3月6日まで、全63話が放映されるなど、さまざまなメディアで制作されました。
無免許ではあるものの、唯一無二の神業ともいえるテクニックにより世界中に名を知られる、天才外科医ブラック・ジャックを主人公に、「医療と生命」がテーマとなったストーリーが展開しました。
ブラック・ジャックは総額でどれ位の金額を患者に請求したのか!?
今回は、地上波放送された63話をもとにカウントしてみました。
【前提条件】
◆ブラック・ジャックが患者に請求した金額をカウントします。
◆患者から申し出た金額でブラック・ジャックが合意した金額をカウントします。
◆書面だけでなく口頭での約束も金額をカウントします。
◆実際にブラック・ジャックが手にした金額ではありません。
◆ドルは1ドル105円換算
テレビシリ-ズ 第1話~第63話中、対象患者数35名(請求された患者のみ)
計33億20万2100円也
言い値とはいえ、ちょっと考えられない金額です。
作品を見れば、確かに法外な請求をしているのは事実でありますが、さまざまな状況・理由で治療費を無料にしたり、逆に大金を患者にプレゼントしたりする事もありました。
ブラック・ジャックは単なる金儲け主義の金の亡者ではありません。治療に対しては妥協を許さず必死で生きようと頑張る人々に対しては、それに応えようと懸命に努力するそんな彼の姿には心を打たれます。
これだけの治療代をふっかけるのも、患者を含めとりまく人々が命と向き合っているのかを確認しているのでしょう。
悲しいかな、悪い噂というのは一人歩きするもの。法外な治療費を請求する医者というレッテルを貼られてしまいますが、表の顔と歌の顔の二面性こそが、本作を深く味わいのある作品にさせているのではないでしょうか。
大人になってアニメを観返すと、色々と考えさせられ、改めて人の命の大切さを教えてくれます。観たことない人はもちろん、1度観たきりになっている人にも再度視聴していただきたい作品です。
参考文献及び資料
テレビ 【ブラック・ジャック】
ウィキペディア 【ブラック・ジャック】
(※画像はtezukaosamu.netより)
文・内海 健(よしもとライターズアカデミーウエスト)
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Source: PASH! PLUS