ブシロードのグループ分析組織にあたるアニメデータインサイトラボは、アニメビジネスにおける調査を実施しました。今回は、TVアニメと映画アニメの2026年春アニメ全72作品の放送4週目までのデータを分析し、どの作品が視聴者の関心を維持し続けているのか、またどのような変化が生じているのかを分析。その結果を発表しました。
2026年春アニメが放送を開始し、4週間が経過しました。今季は総作品数71作品(新作52作品、続編19作品)という大規模クールです。Googleトレンドによる検索量データとX投稿量データを用いて、放送開始から4週間の初速データから、今季の注目作品と視聴者行動の特徴の分析が行われました。
1週目のファンスコアTOP10は7作品が続編となりましたが、4週目には、7作品が新作に入れ替わっています。トレンドスコア(検索)では4週目に続編がむしろ支配を強めました。「調べる」と「語る」で勢力図が正反対に動いたのが、今季最大の特徴となっています。
※一挙公開作品は週次比較の対象外として除外
分析対象:2026年春アニメ 全72作品(新作53作品、続編19作品)
使用データ:トレンドスコア(Google検索量)=一般認知度・ファンスコア(X投稿量)=ファンの熱量
分析期間:春アニメの放送1週目~放送4週目
初速TOP作品の分析
初速トレンドスコアのTOP10は、続編6作品・新作4作品。冬クールの「続編8・新作2」と比較すると、新作の食い込みが大きく増えた。 今季は原作力のある新作が揃いました。3位の『黄泉のツガイ』を筆頭に、『とんがり帽子のアトリエ』、『氷の城壁』、『あかね噺』と、4作品が30超のスコアを記録しています。
ファンスコアに切り替えると、構図が傾く。TOP10中7作品が続編で、新作は『ガンバレ!中村くん!!』『メイドさんは食べるだけ』『NEEDY GIRL OVERDOSE』の3作品にとどまりました。
維持率データが示す「本当に強い作品」の条件
維持率は「4週目÷1週目」で算出。参考値として、トレンドスコア維持率の中央値は新作49.0%、続編58.9%。ファンスコア維持率の中央値は新作53.7%、続編40.4%でした。
1位の『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』が200%で突出。初週8.8→4週目17.5と、放送が進むほど検索が増えるパターンです。冬クールの『異世界の沙汰は社畜次第』(198%)とほぼ同じ数値だが、初週の絶対値が大きい分、インパクトが大きくなっています。
ファンスコア維持率TOP10は、新作が8作品を占めました。維持率100%超えの7作品中、6作品が新作です。冬クールのレポートで指摘した「新作は検索では不利ですが、”語りたくなる力”では続編に劣らない」という仮説が、今季はさらに鮮明にデータに表れています。
『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』は、トレンドスコア維持率200%・ファンスコア維持率137%。両指標で維持率100%を超えた今季唯一の新作です。
4週目で勢力図が逆転|ファンスコアが示すアニメビジネスの新常識
4週目のトレンドスコアTOP10は続編7・新作3。1週目の6対4からやや続編寄りに戻りました。『Re:ゼロから始める異世界生活』は1週目75.8→4週目93.9と加速しており、冬の『呪術廻戦 死滅回游 前編』(77.0→97.0)と同じ「強い作品がさらに強くなる」動きです。
ファンスコアでは、1週目と4週目で勢力図が逆転。1週目は続編7・新作3だったのが、4週目は続編3・新作7になりました。1週目にいた続編群がTOP10から脱落し、代わりに『上伊那ぼたん』『黄泉のツガイ』『キルアオ』『北斗の拳』『春夏秋冬代行者 春の舞』が浮上しました。
続編の初速ファンスコアがブランドの「期待値」に支えられていたのに対し、4週目のファンスコアは作品を見た上での「満足の数値」。新作は4週間かけて、語りの場で静かに勢力を広げていました。
データから見えるアニメ業界の現在地と、働く人の視点
今季のデータが最も明確に語っているのは、「語りの主役は4週間で入れ替わる」という事実です。ファンスコアTOP10は、1週目の続編7・新作3から、4週目の続編3・新作7へ逆転しました。トレンドスコアTOP10では続編がむしろ支配を強めました。初速のファンスコアがブランドの「期待値」であるのに対し、4週目のファンスコアは作品の「満足度」を反映していることを示唆しています。
本稿の分析は放送開始4週間時点のスナップショットに過ぎません。冬クールでは、終盤にテレビの外(配信→劇場)からダークホースが生まれました。今季は新作が「語り」の場で早くも逆転を起こしています。この勢いがクール中盤以降も続くのか。続報をお楽しみに。
【レポート著者】
SevenDayDreamers
湯通堂圭祐
【レポート編集】
アニメデータインサイトラボ
代表:大貫佑介
(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活4製作委員会
(C)塀(秋田書店)/上伊那ぼたん製作委員会
(C)Nakamura-kun!! Animation Project
(C)藤巻忠俊/集英社・「キルアオ」製作委員会
(C)前屋進・講談社/食べるだけを見てるだけの製作委員会
(C)WSS playground / NEEDY GIRL PROJECT
(C)大森藤ノ・青井 聖・講談社/「杖と剣のウィストリア」製作委員会
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